Dr.純子のメディカルサロン

「こんなところに日本人」
～ラオスで医療支援～フレンズJAPAN代表赤尾和美さんに聞く

　海原　大変だけれど苦痛ではない、嫌ではない、ということだから続けられるんですね。3月に赤尾さんと現地視察でご一緒した時、暑い中を朝早くからランニングしていたのには驚きました。すごい体力ですね。私もかなり運動する方ですが、早朝から走るのはちょっと。ランニングは体力維持のためなんですか。

川を渡っての訪問診療も

　赤尾　私はもともと、体育の先生になることを目指し、水泳を専門として体育大学を受験していました。しかし、父が倒れ長期入院ということになったために、急きょ進路変更をして、看護師になったわけですが、根っから体を動かすことが好きなのです。カンボジア、ラオスでは得意の水泳ができるのはメコン川くらいですが、さすがに現実的ではなく、代わりに健康維持のために15年前に始めたのが走ること。朝日が昇る前に走り、汗だくになる爽快感はちょっとした中毒になります。健康維持のためにしていた朝ランですが、今は体力維持のためにと目的が変わってきました。顔のしわやしみは歳を重ねた証拠と受け入れられますが、「体力だけは闘わないと維持できない」と実感し、エイジングに抵抗するための朝ランです。

　海原　仕事場では日本人は１人ですし、和美さんが先頭に立って働く立場上、ストレスがたまることもあると思いますが。

　赤尾　メンタルは、同居している犬にたっぷり癒やしてもらってハッピーな時間をつくっています。日本の実家には猫もいます。時々送られてくる動画を見てその存在が支えかもしれませんね。彼らがいなかったらと思うと泣けちゃうくらい、べったりです。それでも、かなり落ち込むこともありますが、信頼できる人にストレスをぶちまけちゃいます。聞いている方はうんざりかもしれないですが、私はすっきり。申し訳ないと思いつつ、発散しないと爆発してしまうので勘弁していただいています。理解者が周囲にいてくれることに感謝です。

　◇まずは知ってほしい

　海原　日本にいるとラオスについての報道がないため、ラオスの現状を知らない人が多いです。何かお手伝いできることはありますか？

　赤尾　私が働いているのは非営利の団体が運営する病院なので、これまでとても多くの皆さんにご支援をいただき、継続できてきました。日本にいて手伝えることと聞かれると、やはり一番は寄付や寄贈になってしまいます。特に円安の影響が大きな昨今は特にそうなってしまうのですが、まずは、それ以前にラオスにいる子供たちの状況を知っていただけるだけでも、私たちにとっては大きな力となります。

訪問診療への道

　そのためには、家族や友人とラオスのことを話していただいたり、現地のことを知るきっかけをつくっていただけたりすればうれしいです。とにかくラオスに、そして、ラオスの子どもたちに興味を持っていただきたいです。ラオスから輸入しているバナナは「あまみ」という名前がついていますが、ご存じですか？　そのバナナを食べながらラオスのことを話すきっかけをつくってください。今はまだ「ラオスってどこだっけ？」とよく聞かれてしまいますが、「あー、ラオスね」というくらいになれたらと思います。そして、そのラオスで小児病院を運営している日本の団体があることを知っていただけるようになればと思います。もし、ラオスについて詳しく知りたいなということがあれば、いつでもご連絡ください。飛んでいきます！

　海原　赤尾さんのところで働きたいという人が連絡したいときの連絡先などを教えてください。また、「あまみ」がどこで売っているか教えてください。クラウドファンディングも立ち上げたと聞きました。

　赤尾　「あまみ」はANAフーズさんがラオスの農場で作っているバナナで、日本へ輸出しています。生協やマルエツとかで見かけます。

　ラオ・フレンズ小児病院の専門外来を継続するため、クラウドファンディングを始めました。応援していただけるとうれしいです。これまで小児病院では腎臓疾患や骨髄炎、障がい児などの専門外来を立ち上げ、スタッフが継続的に訪問しています。今回はさらにHIVや悪性腫瘍などの外来を立ち上げたいと思っています。そのためのクラウドファンディング（https://readyfor.jp/projects/LFHC-OPD）です。８月末まで行いますのでぜひ応援してください。（了）

　赤尾和美（あかお・かずみ）　日本の看護師免許取得後、臨床経験を経て渡米し、ハワイ州看護師免許取得。 1999年より2013年4月まで、カンボジアのアンコール小児病院にてHIVと訪問看護の専門家として従事。13年よりラオスのラオ・フレンズ小児病院にてアウトリーチプログラム部長を務め、現在フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPANの代表を兼務する。