インタビュー

膵臓がんは、難治性の代表=見つかれば、直ちに専門医へ


 ◇腫瘍縮小させ手術

 膵臓の周りには,残さなくてはいけないいくつかの重要な血管が通っており、増殖した腫瘍がこれらの血管に食い込むと(浸潤)、切除ができなくなる。永川准教授はこのような理由で切除ができないケースでも、比較的血管への浸潤が少ない場合は,積極的な治療で切除可能な状態にまで腫瘍を縮小させて手術に踏み切っている。「他の臓器に転移したケースは難しいが、血管浸潤のみで手術できないケースでは治療によって『手術可能な状態』に持ってくることができる場合がある」

 具体的には、抗がん剤や放射線治療で腫瘍部分を可能な限り縮小させ,腫瘍が小さくなったら、腫瘍を慎重に切除し、術後にも抗がん剤を使った治療を半年程度続けて再発の確率を下げる。「抗がん剤や放射線治療などを積極的に組み合わせることで、完治できるケースも少しずつ増えてきた。手術が可能となり生存が期待できる患者さんを少しでも増やすことで患者の生存率を少しでも高めたい」と話す。

 ◇医師の経験、技術が影響

 一定の条件を満たせば、がん治療の目安になる5年生存率を40%近くまで向上させることができた、という報告もある。ただ、複数の臓器に囲まれ、重要な血管が通る膵臓の手術の難易度は高く、執刀できる外科医の数は限られる。手術後の抗がん剤治療も、6カ月続ける必要があるので、患者に体力が残っていないと、治療に耐えられないという制約もある。

 「どこまでが手術可能かどうかは、診断、執刀する医師の経験や技術で大きく左右されるし、発見後の治療方針の確定までの時間も、医療機関によって長短がある。その結果、治療の成果にも大きな差が生じてしまう」と永川准教授。運良く発見された場合は、いち早く膵臓を専門とする医師の診察を受け、早期に治療に着手することが「生存率を少しでも改善するために不可欠」と力説する。

 膵臓がんを専門としない医師の中には「膵臓がんは手の打ちようがない」とすぐあきらめるケースも少なくない。しかし、永川准教授は「手術にしても抗がん剤にしても日々研究が進んでいる」として、あきらめずに積極的に治療を受けるよう勧めている。(喜多壮太郎)


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