インタビュー

脳卒中や心筋梗塞の恐れ
糖尿病患者は要注意

 ◇循環器専門施設も警鐘

国立循環器病研究センター病院動脈硬化糖尿病内科の槇野 久士医長

 糖尿病が心臓や脳の血管に与える影響について、国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)動脈硬化糖尿病内科の槇野久士医長も「高血糖だけでなく、インスリン抵抗性=用語解説参照=の悪化も動脈硬化を進めて循環器疾患のリスクを高める」と強調。その上で、「人工透析や失明などこれまで知られている重い合併症を発病する以前の比較的軽症の糖尿病患者でも、死亡に至ることもある重大な心血管系疾患を発病する危険がより高くなる」と警鐘を鳴らす。

 このようなリスクに備えるために槇野医長は「糖尿病患者については血糖値だけでなく、心血管疾患のリスク評価に使える血圧や血中脂質、血管の柔軟度などの変化に注意し、これらの改善を視野に入れた治療が必要だ」と訴えている。(喜多壮太郎、鈴木豊)

 用語解説 「インスリン抵抗性」 インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンで、血糖値を引き下げる作用がある。血糖値が高い期間が続くとインスリンの分泌量も増加して血糖値を下げようとし、インスリンが常時、平均値以上に分泌されるようになる。このような状態ではインスリンの作用が弱まり、さらに分泌量が増大する。この過程を繰り返す中で膵臓の分泌機能自体が低下し、最終的にはインスリンの分泌量が減少し、インスリンの定期的投与が必要な状態になる。

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