特集

新薬開発で日本回避懸念
製薬各社、薬価改定に反発

 ◇オプジーボ値下げも影響か

 小野薬品工業の抗がん剤「オプジーボ」の緊急値下げもドラッグ・ラグ拡大に影響しそうだ。製薬業界は開発中止リスクがあるビジネスのため、市場環境の急な価格の変化で収益見通しが修正されるのを好まない。「急に大幅値下げされては将来の投資計画が立てられず、日本での開発をためらうかもしれない」(外資系製薬大手)と話す。

 皮膚がん治療薬のオプジーボが肺がんでも使用できるようになり、患者数が30倍以上に急増。患者1人当たり年間3500万円かかる高額医薬品だったこともあり、医療財政を圧迫するとして問題視さ

米国研究製薬工業協会(PhRMA)のパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長(PhRMA提供)
れた。通常2年ごとの薬価見直しルールがほごにされ、1年以上前倒しして薬価が半額に引き下げられることになった経緯がある。18年度からはさらに引き下げられ、発売時よりも6割超安くなる。

 そもそも特許期間中に薬価が下がるのは日本だけといい、「オプジーボのように使用できる病気を増やす努力をすると、特許期間中でも薬価が下げられることも問題だ」(海外製薬大手幹部)とし、投資先としての日本市場への不信感は高まっていた。

 PhRMAのパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長(日本イーライリリー社長)は「新薬創出加算の導入後は、新薬の申請品目数が42%増加するなど、日本での開発は活発化していた」と述べ、改定はメーカーの開発意欲をそぐと残念がる。新薬加算の対象は約920品目から約540品目に絞られ、約4割減少するという。


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