インタビュー

子供の血便、保護者も知識を
受診が必要なポイントは

   

◇O157原因、生死に関わることも

 重症化しやすく、警戒が必要なのがO157に代表される腸管出血性大腸菌による急性胃腸炎だ。集団食中毒の原因として報道されることが多いが、国内の年間発症者数は3000~4000人で、散発的に患者が出る場合も少なくないし、感染しても発病しない人もいる。

 河島教授は「決して特別な病気ではない。多くの場合、水のような下痢で始まり、そのうち鮮やかな赤い血が混じった便を頻繁に繰り返すようになる。この段階でおなかの強い痛みを訴えるようになる」と病状の進行を説明。その上で、「大半の患者は4~8日で自然に回復するが、小児の場合患者の5~10%が溶血性尿毒症症候群を発症して重症化し、およそ2~4%が脳症を併発して生死に関わる状態に陥ることもある」と強調している。

 ◇似た症状の過敏性腸症候群

似た症状が続くために鑑別が必要になるのが、IBS(過敏性腸症候群)だ。腹痛や下痢便秘などの便通異常が長期間続く病気で、小児の場合、保護者や医師が一目で判断することは難しい。河島教授は「排便後に痛みが軽くなったり、睡眠中に症状が出てこなかったりするのであればIBSの可能性が高いので、専門医の診断を受けてほしい」とアドバイスする。

 どの下痢になった場合でも、子供への栄養補給、つまり授乳や食事も大きな課題になる。「昔言われていたように、母乳をやめたり、ミルクを薄めたりする必要はない。医薬品の経口補水液は調整されていて問題はないが、スポーツドリンクなど糖分の高い飲み物や食べ物は下痢が長引くこともある」。またある程度成長した子供の場合は、米やパンなどの炭水化物に脂肪分の少ない肉、ヨーグルトなど消化が良い物を中心に食べさせるとよいだろう。(了)


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