Dr.純子のメディカルサロン

新入社員6月までの注意事項 第17回

 「分からなくても質問しない新入社員」がいるのはどうしてなのでしょうか。質問することで「できない人間」だと思われたくないというプライドがあるのかもしれません。ものを尋ねにくい雰囲気の職場なのかもしれません。失敗や挫折をあまり経験せずに社会人となり、分からないことやできないことがあるという事実に耐えられないのかもしれません。

 でも、「分からない→他人に聞かない→自己判断で進める→失敗・挫折」というパターンには、適応障害の危険があり、問題です。

 新年度が始まり、多くの企業では新入社員が研修を受けている頃だと思います。この時期、心療内科医の観点から指摘しておきたいことがあります。これから3カ月は新入社員にとっては要注意期間。というのは、5月、6月になると適応障害を訴えて心療内科を受診する新入社員が途端に増えるからです。

 適応障害とは、はっきりしたストレス要因があってから1~3カ月以内に起こる心身の不調を指します。例えば、不安感や不眠、いらいら、うつ気分、めまい、胃腸障害などです。職場から離れているときや休みの日は調子が悪くないのに、職場に行こうとすると症状が表れるのが特徴です。飲み過ぎや過食になることもあります。うつ病と似ていますが、うつ病だと職場から離れても調子が悪くなるため、適応障害とは異なります。


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