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中高年の運転に潜む危険
低い緑内障への認識

視界の隅からぼやけやかすみが生じてくることを再現した視野写真=岐阜県警察本部提供
 眼球内の視神経が眼圧の上昇などで圧迫されて徐々に機能が低下し、視野(視界)が狭くなったりする「視野狭窄(きょうさく)」や部分的に物が見えなくなったりする「視野欠損」を引き起こすのが緑内障だ。加齢に応じて症状が進行することが多く、40歳以上の日本人の20人に1人 が発病するという試算もある。ただ、非常にゆっくりと症状が進むため、なかなか病気だと気付けずに放置し、症状が進行してしまうケースも少なくない。

 特に問題になると考えられているのが、速度が上がると視野が狭くなる上に、視覚から得た多くの情報を短時間に処理しなければならない自動車の運転だ。信号や標識を見落としたり、横道からの飛び出す自動車や歩行者への対応が遅れたりすることによって事故を誘発するリスクが高くなる。

 ◇症状に対する誤解

視野欠損を発見するためのクロックチャートも公開されている=啓発HP「NTG40(www.ntg40.jp)」より
 製薬会社「ファイザー」が今年4月、40歳以上で月1回は車を運転している男女約1万人を対象に調査を実施した。それによると、「視野を気にする・したことがある」との回答が全体の18.4%で、「視力を気にしたことがある」の60.8%を大幅に下回った。「視力と視野の違い」については、「分かる」との回答が64.1%にとどまっている。

 この傾向と関連するのか、緑内障という病名自体の認知率は98.7%だったが、「症状をおおよそ知っている」は36.5%にすぎなかった。白内障やドライアイ、結膜炎などの認知率とは大きな差がある。さらに、周辺部の視野が狭くなるのが緑内障の症状だが、「症状をおおよそ知っている」「病名を聞いたことがある」と回答した人の中でも、半数近くが「緑内障になると視野が欠けたところが黒く見える」と、誤った認識を持っていた。

 ファイザーの担当者は「緑内障は治療せずに放置すると、失明する可能性もある。しかし日本では、患者の約90%が無自覚のまま放置していると考えられている」と現状を分析。「視野異常が進行した場合は運転時の事故の可能性が高まる。運転する人には、特に関心を持ってもらいたい」と調査の狙いを説明している。

 視野の欠損があるかどうか簡便にチェックできる「クロックチャート」もあり、インターネットなどで入手できる。

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