足の悩み、一挙解決

第5回 「ハイヒールが楽」は勘違い
~「足底腱膜炎」の話をしましょう~ 足のクリニック表参道院長 桑原靖

 ◇治療と予防を同時に

 ステロイドの注射や体外衝撃波は即効性があって、すぐに痛みが取れますが、根本的な解決にはなりません。治療と予防を同時に行うことが大切です。

 足底腱膜炎は、運動不足だからと思い立って、いきなりウオーキングやランニングを始めた人に多くみられます。準備運動もなしに急に、日頃していなかった運動を始めるのは無謀です。せめて、アキレス腱伸ばしだけは、やった方がいいでしょう。

 青竹踏みや、テニスボールで足の裏をほぐすのもお勧めです。膝の裏から足首、かかとを介して、足の裏までが1本のベルトでつながっているイメージで、全体をほぐすようにしましょう。

 扁平足の人は、足底腱膜が常に引っ張られた状態なので、インソールを使って、足のアーチをサポートする必要があります。インソールで足の骨をあるべき場所に整え、足底腱膜にたわみを持たせるようにすれば、特定の場所に無理な負担がかかることなく、さまざまな動きがスムーズにできるようになります。

 ◇ペタンコ靴はNG

 靴の選び方にも注意が必要です。ペタンコ靴を履いている人は、足底腱膜炎になりやすく、治療しても治りにくい。つま先からかかとまでが完全にフラットな靴は、楽に見えるかもしれませんが、逆に足に負担がかかります。

 普通の靴は、つま先とかかとで高低差がついているため、踏み返しが楽にできるように作られており、ほんの5ミリでも高低差があるだけで違います。

 ただし、かかとの高さが3センチを超えると、足の前の方にかかる荷重が大きくなってしまい、本来、耐え得る以上の力が足指の骨にかかり、痛みが出てしまいます。また、靴底が厚い靴も、前後で高低差がなければ足への負担は大きくなりますし、踏み返しポイント(指の付け根部分)で曲がってくれないと正しく歩くことができません。


 ◇TPOで靴を履き替え

 車を運転するときは靴底が薄く、高低差がない方が運転しやすいので、ドライビングシューズはそういった作りになっています。でも、その靴では歩きづらいので、車から降りて歩くときはウオーキングシューズに履き替えるのが理想です。

 靴は用途に応じて作られているので、同じ靴を1日中、履きっ放しにするのではなく、TPOに合わせて履き替えるのが理想です。靴の選び方については、今後の連載で詳しく解説します。

(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)



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