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冬も水虫に注意
かゆみなくても症状進行

 夏の病気と思い込んでいる人も多い水虫。しかし、かゆみを感じていなくても、実は四季を通して症状が進行しているケースが少なくない。床暖房の普及などで足先も暖かい状態にあれば、水虫は増殖してしまう。冬だからといって油断はできない。

少し荒れただけに見える角化型水虫の患部(かかと)

 「水虫イコールかゆい病気」と考えがちだが、むしろかゆみを感じさせない水虫の方が多く、「かゆくなくなった」からと治療を中断するとすぐに再発してしまう。中には、あかぎれや爪の白濁のように、外見に影響する水虫もある。季節が移って春から初夏になればミュールなどで足を人の視線にさらす機会も増える。足のおしゃれを楽しむためにも、今からしっかり治療しておきたい病気だ。長年水虫の治療に携わってきた専門医に、水虫発症を疑うべき兆候や治療法、予防法について聞いた。

 ◇かかと、爪に多く発症

 「水虫はカビ(真菌)の一種である白癬(はくせん)菌が皮膚表皮に繁殖する皮膚疾患。かゆみを伴うというイメージが強いが、実際にはかゆみを訴える症例はむしろ少数派。ある調査によると、日本人の5人に1人が水虫にかかっている、という報告もある」。東京都中野区内で開業し、長年、皮膚科専門医として水虫の治療や啓発に取り組んでいる楠俊雄医師はこう強調する。

 楠医師によると、水虫はかゆみを伴い、皮膚が白くふやけたりむけてしまったりする「趾間(しかん)型」や小さな水疱(すいほう)ができる「小水疱型」が知られている。しかし、患者が多いのは、足の裏、特にかかとの角質が硬く表面にあかぎれのようなひびが入る「角化型」や、爪の裏側に白癬菌が入り込んで増殖し、爪が白濁したり、もろくなったりしてしまう「爪水虫(爪白癬)」と呼ばれているタイプだ。「これらかゆみを伴わない型が水虫の多数派を占めている」と楠医師は話す。

楠俊雄医師

 ◇顕微鏡の検査欠かせぬ角化型

 「特に角化型は、一見しただけでは肌荒れやあかぎれと鑑別することが難しい。正確な診断には、患部の皮膚の角質の一部を採取して顕微鏡で白癬菌の有無を確認する顕微鏡検査が欠かせない」と楠医師。逆にかゆみを伴う皮膚発疹や皮むけを水虫と思って診察を受けた患者の3分の1が湿疹やかぶれなど他の病気だったという調査もあると説明し、診断の難しさを強調する。一方、爪水虫の診断は難しくないが、患者からの訴えがないと医師の目が届かないことが少なくない、と言う。

 その上で楠医師は「『水虫が治らない』と困っている患者がいるのは、正確な診断なしに市販薬での治療を試みてしまうから。正しい診断を受けて適切な治療を受け続ければ治る病気だ」と指摘する。皮膚が硬化した角化型や爪水虫に対しては一般的な塗り薬は効果が期待できず、医師の処方する飲み薬(内服薬)が有効。全身に薬が回るため、患者が気づいていない部分の白癬菌も一気に治療できる。ただ、角化型で2~3カ月、爪水虫は爪が生え替わる期間も含めて半年前後は治療を続ける必要がある。

 ◇よく足を洗う

 治療と同時に重要になのが、予防だ。基本は、毎晩就寝前の入浴の際によく足を洗うことだ。楠医師は「昔に比べて近年は、スポーツジムやヨガ教室など十分に暖房の効いて不特定多数が素足になる場所を利用する機会が増え、その分、白癬菌に感染するリスクは高くなる。このような場所を利用したときは、帰宅後によく足を洗う程度の自衛策は必要だ」と話す。また水虫になったときに家庭内での感染拡大を防ぐためには、足拭きや脱衣所のマットは家族と共有しない。スリッパも患者は専用のものを使い続けることなども、忘れてはいけない。

靴は間隔を空け、履かない日は乾燥を心掛ける

 ◇靴を乾燥させる

 もう一つ注意したいポイントが靴の手入れ。白癬菌は高温多湿の環境を好み、皮膚や爪に含まれるタンパク質を栄養源に増殖する。楠医師は「足自体はもちろん、目に見えないほどの大きさの皮膚片などが落ちている靴の中も、繁殖の適地と言える」とし、対策の必要性を指摘する。

 具体的には、最低1日は空けて2足以上の靴を使い回す。帰宅後は靴の中を乾燥させるため、丸めた新聞紙や乾燥剤を翌日まで入れておく。特に冬場の雪道やぬかるみを歩いた際には、より一層乾燥を心がけたい。

 特に注意が必要なのが断熱性や保温性が高いブーツだ。特に爪先部分は空気に触れにくく、湿気や熱がこもりやすい。奥まで乾燥剤などを入れ、2足以上を履き回すように心がけるなどの対策が有効だ。楠医師は「最近はブーツ専用の乾燥機も登場している、普通の靴よりも一層の乾燥対策が必要です」と話している。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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