足の悩み、一挙解決

第12回 子どもの足トラブル、大人が気を付けて
~自分で痛みを訴えることはまれです~ 足のクリニック表参道院長 桑原靖

 学校のマラソン大会。いつになってもゴールしないわが子に、いらいらした経験はありませんか。先頭に何周も後れを取って、「サボっているんじゃないの」と、突っ込みを入れたくなるような走り方をする子がいます。

 でも、ちょっと待って。その子の足の裏を観察してみてください。土踏まずのアーチがつぶれた扁平(へんぺい)足ではありませんか。


 ◇小学校低学年まで、ほぼ扁平足

 子どもの足が扁平足かどうかチェックするには、まず子どもを真っすぐに立たせます。視線は落とさず、前を向くようにさせ、このとき足は肩幅くらいで左右並行に立ち、重心がその間にくるようにしっかりと体重を乗せてもらいます。

 土踏まずの部分に人差し指と中指の2本を第1関節まで入れて、土踏まずが持ち上がっているかを確認します。持ち上がっている場合は問題なし。小学校高学年になっても持ち上がっていない場合は、扁平足の可能性ありです。

 歩き始めたばかりの子どもは、みんな扁平足です。小学校に入っても、低学年であれば、ほぼみんな扁平足です。運動したり、走ったり、足をたくさん使うことで、小学校高学年くらいまでに足底のアーチが形成されていきます。

 足の形は両親の混合ではなく、どちらかの親、もしくは近親者の誰かをそのまま引き継ぐ傾向にあるため、両親のどちらかが扁平足の場合、子どもも同じような足である可能性が高いと言えます。

 遺伝的要素がないのに、高学年になっても扁平足が続く場合は、運動不足で足を使っていないか、不適切な靴を履いていた影響などが考えられます。


 ◇扁平足のデメリットとは

 人間の足は、衝撃を吸収するために、わざと不安定な構造で、たわむようにできています。アーチが全くない重度の扁平足の場合、足が内側にねじれた状態で歩くため、体のバランスが崩れ、足の筋肉や骨に大きな負担がかかってきてしまいます。

 さらに、土踏まずがたわんで衝撃を吸収することができず、効率よく蹴り返して歩くことができないため、同じ距離でも大量のエネルギーを消費して歩いたり、走ったりしているのです。

 だから、人よりも疲れやすい。もう十分に頑張っているのに、サボっているように見られてしまうのは、とても気の毒だと思います。

 扁平足は単なる形の特徴だけにとどまらず、歩く、走るなど、あらゆる動作に支障を来すものなのです。


  ◇歩き始めは足首まで覆う靴を

足首まで覆うハイカットの靴(ミキハウス提供)

 子どもの靴は、子どもの足の成長に影響するため、慎重に選ぶ必要があります。ネット通販などで気軽に買える時代になりましたが、靴はきちんと試着して、足に合っているかどうかを確認して買ってほしいと思います。

 歩き始めは、まだ足の骨格構造が柔らかいので、足首まで覆うハイカットの靴が最適です。ただ、これだと足首を使って走ることが難しいため、幼稚園の年少、3歳くらいで走りだすようになったら、普通のスニーカータイプの方が動きやすくなります。

 大人はひも靴が理想ですが、子どもは自分できちんと結べないので、マジックテープの靴で構いません。履きやすい靴は脱げやすいので、スリッポン(ひもや留め具のない靴)は避けたい形です。

 ◇1年で1センチ伸びる子どもの足

 子どもの足は1年で1センチ伸びるので、個人差はありますが、年に2回は買い替えるつもりで考えておく必要があります。半年に1度はサイズのチェックをしましょう。

 子どもの靴を選ぶときは、インソールが外れる靴であれば、取り出してそこに足を乗せて立たせてみます。立つと、アーチがつぶれて前方に伸びるので、必ず立った状態でサイズをチェックすることが重要です。

 足の実寸より5ミリほど大きいのが理想のサイズです。すぐに小さくなるからと、大きめサイズを買うと、歩くたびに足が前にずれてしまい、歩きにくいだけでなく、足の発達にもマイナスです。

走り回る子どもたち(写真はイメージです)


 ◇靴底チェックを

 靴のお下がりは、できれば避けたいものです。履く人の癖がついた靴を履くのは、足にとって負担です。とはいえ、すぐに成長する子どもの靴は、まだほとんど履いていないのに、小さくなってしまうことも。

 リサイクルショップなどで靴を買う場合は、靴底をチェックして、できるだけ擦り減っていないものを選びましょう。靴の形が歪んでしまっているものも、やめておいた方がいいと思います。

 速く走れるという触れ込みの運動靴が人気ですが、普段履きという観点から考えると、かなり気になります。靴底をよく観察してみてください。

 トラックを左回りに走りやすくするために、左右非対称なつくりになっているものがときどきあります。

 こうした特殊な靴は、トラックを走るときだけ履くのであればいいのですが、1日中履くのは足には負担で、普通に真っすぐ歩いたり、走ったりしていても、靴の擦り減り方に左右差が出てしまう可能性があります。

 子供であっても、靴はTPO(時、場所、場合)に応じて選んだ方がいいでしょう。

 ◇合わない靴はとても有害

 子どもは靴が足に合わなくても、なかなか痛みを訴えません。まだ足が柔らかいので、合わない靴でも、履きこなしてしまうことが多いのです。

 よくあるのが、サイズが小さくなったことに気付かないまま、履き続けているケース。小さくなった靴を履き続けると、靴の中で足の指が曲がってしまい、足の発達に影響が出てきます。

 子どもは全身の体が柔らかく、補正能力も強いため、もし足に弱点があっても、他の部位で補うことができます。そんな子どもが、もし足が痛いと訴えたら、相当悪くなっていると受け止めてあげてください。

 また、夜中にふくらはぎが痛くて泣いているなど、足ではなく他のところに症状が出ることも多いので注意が必要です。

 足に弱点のある子でも、足に合った靴選びと、インソールを活用することで、多くのトラブルは改善されていきます。子どものうちから適切な対処をしておけば、大人になってから、大きなトラブルに発展するのを防ぐことができます。

 ◇後ろ姿を観察しよう

 わが子の足の健康を守るためには、日頃から足の状態を観察してあげることが大切です。足首の傾きが特に重要なので、歩いたり、走ったりする時の後ろ姿は、よく見てほしいと思います。

 左右対称か、足首が内側、あるいは外側に傾き過ぎていないか、片手だけ振って歩いていないか、などをチェックしてください。人と比べるのはよくないと言われる昨今ですが、歩き方や走り方など、動き方にどんな特徴があるのか。速い遅いではなく、足の健康を守る目的で見るようにしましょう。

(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)



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