一流に学ぶ 人工股関節手術の第一人者―石部基実氏
(第6回)次々に湧くアイデア=院長らにアピール
人工股関節の手術を希望する患者は右肩上がりにどんどん増えていった。当時、NTT東日本札幌病院 では毎月1回、院長、事務長、各科の部長がそろう運営会議が行われた。さらに3カ月に1回、院長、副院長、事務長、経理課長による各科部長へのヒアリングがあった。
「『きょう、院長対話なんだ。嫌なんだよなあ、小言、言われるから』と嘆いている部長もいましたが、僕は全然そんな風に思っていなくて、むしろ『おねだり会議』だと思っていました」
◇二つ返事でナビシステム
ナビゲーションシステムの機械は高額で、5000万円程度の予算が必要だった。「これを買ったら 、手術の正確性や安全性、迅速性が向上し、また患者さんが増えますよ」という石部氏の提案に、院長も事務長も二つ返事でOKしてくれた。
当時としてはまだ珍しい健康セミナーを企画したこともあった。人工股関節の手術を経験した芸能人をゲストに呼び、ホテルで開催したところ、800人もの申し込みがあった。
「同時に、『手術後は明るい未来が開けます』というイメージビデオを作って健康セミナーで放映しませんか、と提案しました。数百万円かかるのですが、それも作ってくれました。次々にアイデアが湧いてきて、次は何をやろうかと考えるだけで楽しかった 。最後は院長が『先生、忙しいから体だけは気を付けて』と毎回、労をねぎらってくれました。
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(2017/06/01 16:10)