一流に学ぶ 角膜治療の第一人者―坪田一男氏

(第11回)目は老化のバロメーター=アンチエイジングで世界リード


 坪田氏がアンチエイジングに興味を持ったのは、白内障やレーシックの手術を受けた患者が、見違えるように若々しくなり、表情も生き生きして、話し方や歩き方まで変わったことに驚いたのがきっかけだった。
「人が老化を感じ始める最初の変化が老眼だから、眼科医は抗加齢医学のゲートキーパーになれる可能性がある」

 2015年春には、国際的な総合科学ジャーナル「Nature」と日本抗加齢医学会が共同でオンラインジャーナル「npj Aging  and Mechanisms of Disease」を創刊、坪田氏が編集長に就任した。

 「日本は世界的に見ても長寿国ですから、日本での取り組みが国際的な医学・健康科学に貢献できる。アンチエイジング医学の分野で世界をリードしていける可能性は高いと思います」

 ◇100歳現役へ自ら実践

 アンチエイジングを実践する坪田氏の睡眠時間は平均7時間。夜10時以降はパソコンやスマートフォンには触れず、読書をして新しい知識を吸収する。食生活では最近、月に5日間だけ摂取カロリーを半分以下に減らす「FMD」というダイエットを実践中。運動は水泳を週3回、行かれないときはマシンを使ってランニングに励む。教授室の椅子は、何とバランスボールだ。

 「ボールの上でバランスを取ろうとすると体幹が鍛えられる。わざわざ時間をつくらなくても、日常生活の中でアンチエイジングに役立つことはあります。どんどん取り入れて、100歳になっても仲間と一緒にごきげんに仕事をしていたいと思っています」(ジャーナリスト・中山あゆみ)


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