女性アスリート健康支援委員会 「食」の要注意サイン、ありませんか
スポーツ女子が練習量に見合った糖質を取るために
ごはんからチェック! 公認スポーツ栄養士が説く注意点
◇栄養指導は「まずはおにぎり1個でも食べよう」から
「まず、ご飯やパンをどのくらい食べているかチェックします。その結果、たとえばどんぶり1杯のごはんをプラスしなくてはならないとなった場合、糖質を避けていた選手に、いきなり『どんぶりでごはんを食べよう』と言っても、なかなか食べられません。まずは『おにぎり1個食べられる?』といった感じで、選手の反応を見ながら、手探りで指導を進めることが多いですね」
無月経が長引くと、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下し、骨量の減少を引き起こします。骨量が低い状況で練習することで、疲労骨折のリスクが高まります。このため、骨を形成しているカルシウムを含む牛乳・乳製品などや、カルシウムの吸収を高めるビタミンDを多く含むキノコ類、魚類などを食事に取り入れることもアドバイスします。
食事量を増やすよう指導する際、選手側が心配するのは体重が増えないかということですが、ほとんどの選手は除脂肪量での増加で、ベストタイムを更新できた選手もいます。
アメリカのスポーツ医学会は、利用可能エネルギーを45キロカロリー以上確保するよう勧めています。小清水先生らは、海外選手との体格差や食生活の違いも踏まえ、日本人選手に対する望ましい栄養改善指導のあり方について検討していく方針です。
◇公認スポーツ栄養士も活用して
糖質不足を改善したら、その先の目標になるのは栄養素バランスの取れた食事の習慣化です。国立スポーツ科学センターのホームページでも紹介している「アスリートの基本的な食事の形」はもちろん、アスリート向けのさまざまなレシピ本も参考になるでしょう。
公認スポーツ栄養士は、日本スポーツ協会と日本栄養士会の共同認定による資格で、スポーツ栄養の専門家です。この制度ができて、ちょうど10年。「日本スポーツ協会の講習を受けて検定試験に合格し認定された公認スポーツ栄養士が全国に約300人いて、今春から日本スポーツ協会のホームページで検索できるようになりました。ぜひスポーツ選手の栄養指導のために活用してください」と小清水先生は話しています。(水口郁雄)
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(2019/07/05 16:00)