こちら診察室 痔を治す
あなたの肛門もSOS!?
痔の症状と気付きにくいサイン 【第3回】
◇セルフチェックで早期発見を
痔を早期に発見するためには、以下のセルフチェックを定期的に行うことが有効です。
①排便後のチェック
トイレットペーパーや便器に血が付いていないかを確認します。また、便の形状や色を観察することも重要です。
②肛門周囲の状態を観察
違和感や腫れ、硬さを感じた場合、鏡を使って肛門周囲を確認します。
③症状の日記をつける
症状がいつから始まり、どのように変化しているかを記録することで、医師の診断に役立ちます。
◇医療機関を受診するタイミング
次のような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
①出血が頻繁にある
特に便器が赤く染まるほどの出血が続く場合は、痔だけでなく他の疾患の可能性も考慮する必要があります。
②痛みが強い
排便時や座っているときに激しい痛みがある場合は、痔核が悪化している可能性があります。
③膿が出る
肛門周囲から膿が出る場合は、痔ろうや感染症が進行している可能性があります。
④生活に支障を来す
日常生活に支障を来すような症状が続く場合は、専門医の診察を受けましょう。

ウオーキングなどの軽い運動は腸の動きを活発にし、便秘予防に効果的(イメージ)
◇痔の予防策
痔を防ぐためには、以下の生活習慣を見直すことが重要です。
①食生活を改善する
食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物を摂取し、水分を十分に補給しましょう。
②適度な運動を行う
ウオーキングやヨガなどの軽い運動は腸の動きを活発にし、便秘の予防に効果的です。
③トイレ習慣を整える
便意を感じたら我慢せずに排便し、トイレでの滞在時間を短くすることを心掛ましょう。
④肛門周囲を清潔に保つ
排便後はウォシュレットやぬるま湯で肛門を洗浄し、清潔を保ちます。
痔は早期に発見し、適切なケアを行うことで症状の悪化を防ぐことができます。日常生活の中で排便時の違和感や出血などのサインを見逃さず、必要に応じて医療機関を受診することが健康的な生活の維持につながります。
次回のコラムでは、切らずに治す「ALTA療法」について詳しく解説します。

鈴木隆二医師
鈴木隆二(すずき・りゅうじ) 医療法人社団筑三会理事長、消化器外科専門医(筑波胃腸病院、千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザ)。聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター助教を経て、20年現理事長に就任。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、麻酔科標榜医、産業医、難病指定医。経営では医療DXに注視し、多数の取材・本を出版している。
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(2025/03/27 05:00)
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