中里道子 医師 (なかざとみちこ)

  • 国際医療福祉大学医学部精神医学
  • 主任教授

精神科 心療内科 小児科

専門

認知行動療法、摂食障害

中里道子

医学部卒業後、精神神経科勤務を経てロンドンのモーズレイ病院摂食障害ユニットに留学。過食症に対する最も有効な心理療法である認知行動療法について学び、帰国後は摂食障害を中心に、大人や若者の心の悩みに対する認知行動療法を用いた支援の教育や、実践に従事している。認知行動療法がより有効に働くために、患者自身が問題を受け止めて変化の可能性に気づき、回復に向けて準備を整えていけるバランスシートを採用するなど、その治療は高い評価を集め、実績へとつながっている。

診療内容

子どもを取り巻く環境や教育現場、社会情勢の変化により、子どもたちのこころの問題がいっそう深刻化している。これまで大人の疾患と考えられて来たうつ病は、小・中学校にも広がり、摂食障害も発症年齢が低年齢化している。こうした状況の中、子どもたちのこころの問題に取り組むとともに、社会が連携して支援のネットワークを築くための拠点となるべく2003年に開設されたのが「こどものこころ診療部」だ。うつ病、不安障害、摂食障害、発達障害など、様々な疾患の外来診療、関連の診療科や医療機関との連携によるリエゾン治療はもとより、児童精神科医や臨床心理士の育成なども実践されている。
摂食障害(ED)とは、体重や体型を過大に重視する自己価値観、さまざまな認知の問題が認められ、過食や厳格な食事制限、体重や体型へのこだわりなどの食行動上の問題が認められ、日常生活の支障をきたす精神疾患であり、若年から成人の女性に多い。世界保健機関(WHO)の診断基準では、摂食障害は身体的要因と精神的要因が相互に密接に関連して形成された食行動の異常と考えられており、神経性食欲不振症(AN:神経性無食欲症、神経性食思不振症、思春期やせ症)と、神経性過食症(BN:神経性大食症)に大別され、ANには「制限型」と、「むちゃ食い/排出型」がある。一方、BNは、現在の神経性大食症のエピソード期間中に、定期的な自己誘発嘔吐、下剤、利尿剤、または浣腸の誤った使用をする排出型と、定期的に不適切な代償行動を伴わない、非排出型に分類される。また、これらのどれにも当てはまらない場合は、特定不能の摂食障害(EDNOS)と呼ばれる。
中里医師が実践する認知行動療法(CBT)は、うつ病や不安障害の治療の第一選択とされる精神療法で、薬物療法に勝るとも劣らぬ効果を有することが医学的に明らかになっている。ものの受け取り方や考え方に目を向けて、それがどの程度現実と食い違っているかを考えることで思考のバランスを取り、問題解決につなげていく取り組みで、治療者との面接はもちろん、ワークブックや食事記録表などを用いて日常生活の中で実践していくことが大切となる。
2011年4月には同研究院に「子どものこころの発達研究センター(千葉センター)」が新設され、これまでの実績を背景に、「子どもへの認知行動療法に関する教育研究事業」がスタートした。英国を源流とする認知行動療法を日本独自の観点から開発し、明確なエビデンスを世界に提示すること。さらに、開発された認知行動療法を臨床現場での治療、学校現場での予防に用いて子どものこころを健やかに育てることが目標だ。子どものこころを育てることで、活力ある日本社会の形成に貢献しようという取り組みに大いに期待したい。

医師プロフィール

1990年3月 千葉大学医学部 卒業
1990年6月 千葉大学医学部附属病院精神神経科
2005年10月 ロンドン大学精神医学研究所・モーズレイ病院の摂食障害ユニットに留学
2012年4月 千葉大学・子どものこころの発達教育研究センター 特任教授
2017年1月より、千葉大学大学院医学研究院精神医学特任教授
2017年4月より、国際医療福祉大学医学部医学科精神医学主任教授(現職)