岡本百合 医師 (おかもとゆり)

広島大学病院

広島県広島市南区霞1-2-3

  • 保健管理センター 精神科
  • 准教授

精神科 精神科 内科

専門

思春期青年期心性、心身医学、摂食障害

岡本百合

岡本百合医師は、拒食症や過食症などの摂食障害の認知メカニズム(脳からのアプローチ)と、治療的介入について取り組んできた。治療困難な慢性例も多く死亡率も高い摂食障害に対して、ご家族や周囲の人々と協力しながら治療、さらに回復への援助まで携わっている。グループカウンセリングにかかわってきた実績も豊富にもつ。現在は大学の保健管理センターにおいて学生や教職員の心身の健康を守る立場にあり、心の悩みを持つ人への支援を続けている。同大学病院での外来診療も週1回担当している。

診療内容

むちゃ食いをする過食症と食事を受け付けず体重減少をたどる拒食症。摂食障害は大きくこの二つに大別される。摂食障害の治療に向き合ってきた岡本医師によれば、ここ10年で増えているのは過食症であるという。「過食といえば異常な量を食べて体重が増加するイメージがありますが“ごく軽い過食症”が目立ってきています。これは極端な過食ではなく、ストレスがたまってちょっと気晴らしに食べ過ぎることを繰り返すもので、一般の人でもありうるものです。また、スイッチが切り替わって過食になったり拒食になったりと、過食と拒食も併発する人もいます。過食=肥満という訳ではなく、嘔吐がひどくなって過食しながらも低体重で極端に痩せる人もいます。このように摂食障害はさまざまですが、慢性化、遷延化するのが全体に言える特徴です」
摂食障害といえば中高生や大学生など10代の女性がかかる病気と考えがちだが、徐々に他の世代にまで広がってきているという。30歳、40歳を過ぎ、ある程度の年齢になって初めて受診する人がいるのは最近の傾向だ。また、反対に若年層の症例も増えていると岡本医師は指摘する。「最近は女児に月経が早く訪れるように早熟になっていますがこれと比例してか、小学生にも摂食障害が増えています。低学年のうちから体型のことを気にする子どもが増えているのです」また、現在話題になっている問題の一つが、発達障害と摂食障害を併発するというもの。これは発達障害のある子どもが食へのこだわりを持った場合に、摂食障害も起こしてしまうというものである。
いずれも心の問題が絡むだけに即効性が期待できる治療は難しいが、唯一「認知行動療法」はエビデンスがある治療とされている。元々は過食の人をターゲットに開発されたものだが、現在は拒食症の人にも適用できるようにアレンジされている。本人が食べすぎを恐れるほどには体重が増えないことを数字で理解してもらい、体重や体型への歪んだ価値観を直したり、同じ悩みを持つ人が集まって語り合うグループカウンセリングも有効だ。ただし、摂食障害は慢性化しやすく、治療に時間がかかる人が大変多い。そのため治療の途中であきらめてしまいやすいのが難点である。治療に際しては「本人も家族もあきらめないこと」。これが重要だと岡本医師は述べる。また、家族は心配のあまりどうしても食事に干渉しがちだが、それが逆効果になることが多い。摂食障害の背景にある本人の気持ちを汲み取り、治療を継続できるよう長い目で温かく見守っていく…岡本医師は、こうしたサポートを家族とともに続けている。

医師プロフィール

1986年3月 関西医科大学医学部 卒業
1991年1月 広島大学医学部附属病院精神科神経科 助手
広島大学病院、県立広島病院、国立療養所賀茂病院、広島県立総合精神福祉センターなどを経て
2000年より現職