乳房の痛み・しこり 家庭の医学

 乳房(にゅうぼう)のしこりは、乳がんの発見のきっかけとしてもっとも多い症状です。
 もし、自分で見て触れること(自己検診)により病気を早期発見することを心掛けるのであれば、月経終了後1週間前後に実施するのがよいといわれています。月経直前は乳腺全体がかたくなり、小さなしこりなどはわかりにくくなります。入浴時に鏡で乳房を観察します。要点は、以前とくらべてかたちや大きさの左右差がないか、乳頭が陥没(かんぼつ)したり不自然な方向を向いたりしていないか、乳房皮膚のはれや変色がないかなどを確認します。
 次に、自分の手で乳房を軽く触れてみます。手のひらでやさしく触れることがコツです。ここで重要なのは左右の乳房をくまなく触れることです。特に下垂気味の乳房の下部や乳頭の真下、乳房のはしは盲点になります。いろいろなさわりかたがありますが、乳房全体を触れることが大切です。

 いままで触れたことのなかったしこりをさわるようなことがあったら、乳腺専門医(外科、乳腺内分泌外科など)、乳がん検診をおこなっている産婦人科を受診しましょう。しこりがあればすべて乳がんというわけではありませんが、けっして安易に自己判断せずに専門医に相談することが大切です。
 いっぽう、乳房の痛みは乳がんの発生とは関係のないことが多いです。
 最近の全国統計で、かつては日本人には少ないといわれていた乳がんが急速にふえていることがあきらかになりました。今日では9人に1人の日本人女性が乳がんになるともいわれています。