乳首(乳頭)の異常 家庭の医学

 思春期になると卵巣からさかんにホルモンが分泌され、女性の2次性徴があきらかになります。乳房(にゅうぼう)は半球状に肥大し、乳頭(にゅうとう)、乳輪(にゅうりん)部は特徴ある茶褐色に着色し、乳頭の突出が目立ってきます。乳頭内には約20本の乳管が通じ、将来の授乳に備えます。乳房や乳頭、乳輪の発達には個人差があります。

■乳首から液体が出る(乳汁漏出)
 妊娠すると、脳下垂体からプロラクチンというホルモンが分泌され、乳腺内で乳汁がつくられて乳頭から分泌されるようになります。妊娠中でもないのに乳汁が分泌されることがあります。乳首を強く圧迫すると、薄い乳汁様のものがかすかに出る程度のものであれば、ほとんどの場合心配はいりません。
 しかし、プロラクチンの分泌が異常に多いために、多量の乳汁が漏出(ろうしゅつ)することがあります。このような場合は婦人科でホルモン検査を受けたほうがよいでしょう。胃薬や神経系の薬の副作用で乳汁分泌が起こることがしばしばあります。
 茶褐色や血液状の液体が乳首の特定の位置から分泌される場合は、乳がんや乳腺の腫瘍が原因となっている場合もあるので、乳腺専門医を受診してください。

■陥没乳頭
 乳首のかたちの異常としては扁平乳頭(へんぺいにゅうとう)、巨大乳頭などいろいろありますが、いちばん多いのは陥没(かんぼつ)乳頭(乳首がひっこんでいる)です。陥没乳頭が美容的にも問題となる場合は、形成外科医による形成手術を実施することがあります。ときに、乳がんが陥没乳頭をひき起こすことがあるので注意が必要です。

■乳頭のびらん・しこり
 乳頭がじくじくすることがあります。ときに乳がんの初発症状のことがありますので、専門医に相談しましょう。非常にまれですが、乳頭内に乳がんやその他の乳腺腫瘍(しゅよう)が発生することがあります。

■副乳
 女性の乳房は通常では左右一対ですが、腋窩(えきか)から乳頭を経て股(また)の付け根に至るライン上に小さな乳房ができることがあります。これを副乳(ふくにゅう)といいます。腋窩にできることが多く、やわらかい腫瘤(りゅう)として触れ、小さないぼ状の乳頭を有することもあります。特に治療をする必要はありませんが、ごくまれに乳がんが発生することもあります。