子宮頸管炎〔しきゅうけいかんえん〕 家庭の医学

 性感染症を起こす微生物など特異的原因による頸管炎は別項に譲ります。本項では、大きな子宮腟(ちつ)部びらんを背景因子とし、性成熟期の女性によくみられる非特異的頸管炎について述べます。
 子宮頸管・腟部は1層から数層の頸管腺円柱上皮でおおわれており、月経周期に応じて増減する粘液を分泌します。感染や接触刺激により炎症反応を起こすと、頸管粘液分泌が増加し、増殖する細菌に応じて分泌物を変色させたり、悪臭を出したりします。

[治療]
 非特異的頸管炎の治療では、原因を問わずクロラムフェニコールの腟内投与を第一におこなうことが多く、また頸管炎をくり返すようなら、誘因となる腟部びらんを炭酸ガスレーザー光や、液体窒素、電気凝固などで治療します。クラミジアなどの特異的感染症を除き、抗菌薬を全身投与することは避けます。

(執筆・監修:千葉大学大学院医学研究院 教授〔生殖医学〕 甲賀 かをり)
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