知覚面の症状 家庭の医学

 ものを見たり聞いたりして判断するはたらきを知覚といい、脳器質性精神障害アルコール関連障害薬物関連障害統合失調症などでみられる知覚面の症状には次のようなものがあります。

■幻視と錯視
 実際にはないものが見える場合が幻視です。死んだ肉親の姿が見えたりといった類いです。実際にあるものが違って見えてしまう場合が錯視(さくし)です。壁のしみが人の顔に見えたりといった類いです。錯視は、まわりの人が指摘すれば本人は間違いを認識できますが、幻視は、そのような修正ができません。

■幻聴
 実際には聞こえるはずがない人の声、音楽、機械音などが聞こえる場合をいいます。

■幻臭
 実際にはにおうはずがないにおいを体験する場合をいいます。くさったようなにおい、ガスのようなにおい、自分のからだのにおいなどがあります。

■幻味
 実際には感じるはずのない味を体験する場合をいいます。「なんか毒のような味がした」といったような知覚です。

■幻触
 実際には感じるはずのない触覚を体験する場合をいいます。

■体感幻覚
 異常なからだの感覚を体験する場合で、通常感じるはずのない内臓の動きを感じたり、からだの中を虫が動いているといった症状などがあります。

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)