自己意識の障害 家庭の医学

 自分はこの世に存在している、考えたり感じたりしている、自分は1人しかいない、などということを私たちはふだん意識しません。そのような意識を自己意識といいますが、さまざまなかたちで障害されます。

■離人体験(離人症性障害気分障害〈うつ病〉、統合失調症など)
 現実感がない、自分で考えている、感じているという実感がない、自分のからだなのに他人のように感じるなどといった体験をします。

■作為体験(統合失調症)
 自分の考えや行動がだれかに操られている感じがする、ロボットになったようだといった体験をします。

■二重身、二重人格、多重人格(統合失調症、解離性障害など)
 自分が2人いるという体験をしたり、同一人でありながら何人もの人物になり、人格の変換を体験したりします。

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)