心房中隔欠損〔しんぼうちゅうかくけっそん〕

 左右の心房の間の壁に孔(あな)があいており、左心房から右心房に血液が漏れる病気です。
 孔が大きいと心不全不整脈などの問題を生じます。若いころは無症状でも、年をとるにつれ症状をもつ人がふえることがわかっています。このため、ある程度以上の血液の漏れがある場合は、症状がなくても小児期から青年期のうちに閉鎖することがすすめられます。
 閉鎖方法は手術による閉鎖とカテーテルを用いて閉鎖栓でふさぐ方法があります(カテーテル閉鎖術)。
 成績には極端な差はなく、どちらの閉鎖方法を選ぶかは患者さんの判断に委ねられます。ただし、孔の大きさや位置によって、閉鎖栓による閉鎖ができない人が2~3割いるといわれています。
 同じ心房に孔のある状態で、胎児期にはみなあいている卵円孔(らんえんこう)という心房中隔のすきまのような孔があいたままの状態を卵円孔開存(かいぞん)と呼びますが、こちらは漏れも少なく閉鎖の必要はありません。


【参照】子どもの病気:心房中隔欠損

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 小児循環器科 部長 矢崎 諭
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