オランダ・University of AmsterdamのArnon P. Kater氏らは、治療歴がある再発性または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する経口B細胞性リンパ腫(BCL)-2阻害薬ベネトクラクス単剤療法の有効性および安全性を検証する第Ⅲb相多施設非盲検単群試験VENICE-1の長期追跡調査を実施。最長108週間のベネトクラクス投与の終了後2年間追跡した結果、骨髄回復が不完全な完全寛解を含む完全寛解率はB細胞受容体(BCR)阻害薬の投与歴なしで35%、投与歴ありで27%だったとの結果をLancet Oncol(2024年3月8日オンライン版)に発表した。
治療歴ありCLL患者の完全寛解を評価
再発/難治性CLLに対するベネトクラクス併用療法の有効性および安全性は確立されているが、ベネトクラクス単剤療法に関する長期追跡データは乏しい。
VENICE-1試験では、欧州および北米の21カ国59施設で治療歴がある18歳以上の再発/難治性CLL患者258例を登録しベネトクラクス単剤療法を行った。患者の年齢中央値は68歳、男性が70%で、BCR阻害薬の投与歴なしが191例、投与歴ありが67例だった。
ベネトクラクスは20mg 1日1回経口投与から開始して5週間で目標用量400mgまで漸増し、許容できない毒性の発現または病勢進行を認めるまで最長108週間投与した。今回の追跡期間は投与終了後2年間(中央値49.5カ月)で、有効性の主要評価項目はBCR阻害薬投与歴なし群における完全寛解率(骨髄回復が不完全な完全寛解を含む)とした。
完全寛解率はBCR阻害薬投与歴なしで35%、ありで27%
解析の結果、完全寛解率はBCR阻害薬投与歴なし群で35%(95%CI 27.8~41.8%)、投与歴あり群で27%(同16.8~39.1%)だった。
年齢、性、人種/民族、全身状態、前治療歴、絶対リンパ球数、ベースラインのリンパ節サイズで層別化したところ、全てのサブグループで完全寛解率は同等だった。
BCR阻害薬投与歴なし群での全奏効率は85%、無増悪生存期間の中央値は28.8カ月(95%CI 22.2~31.8カ月)、推定5年生存率は75%(同67.5~80.6%)で、BCR阻害薬投与歴あり群ではそれぞれ64%、23.4カ月(同16.8~33.8カ月)、61%(同47.7~71.6%)だった。
主な有害事象は好中球減少、休・減薬で管理可能
安全性プロファイルは既報と同等だった。全体で発現率が最も高かった治療関連有害事象は好中球減少症(43%)、次いで下痢(39%)、悪心(27%)の順だった。グレード3以上の有害事象は203例(79%)、重篤な有害事象は136例(53%)に発現し、最も発現率が高かったのはそれぞれ好中球減少症(37%)、肺炎(8%)だった。好中球減少症は発現率が高かったが、ベネトクラクスの短期間の休薬または減薬で管理可能だった。
有害事象による死亡は13例(5%)で、うち1例(自己免疫性溶血性貧血)がベネトクラクスに関連する可能性ありと判定された。
以上の結果を踏まえ、Kater氏らは「治療歴がある再発/難治性CLL患者に対するベネトクラクス単剤療法は、BCR阻害薬投与歴の有無を問わず持続的な深い奏効をもたらしうる有効な治療法であることが示された。われわれの知る限り、VENICE-1はベネトクラクス単剤療法に関する最大規模の試験で、今回の結果はCLLに対するベネトクラクスの早期投与を支持するものだ」と結論している。
(太田敦子)