乾癬に対し生物学的製剤による治療は有効だが、期待通りの効果が得られない患者もいる。生物学的製剤の有効性に関連する因子については幾つか報告があるものの、いまだ明確ではない。デンマーク・Copenhagen University HospitalのGustav Hjort氏らは、乾癬患者における生物学的製剤の有効性と関連する因子を探索。治療効果と負の相関を示す4因子(高齢、生物学的製剤使用歴、高BMI、喫煙)を明らかにしたJAMA Dermatol2024年6月18日オンライン版)に報告した。

PASI 90達成に対する生物学的製剤使用歴のORは0.44

 Hjort氏らは、PubMed、Web of Science、EMBASEに2022年4月までに収載された、生物学的製剤治療を受けた乾癬患者における臨床的特徴と乾癬面積重症度指数の75%以上の改善(PASI 75)またはPASI 90を指標に有効性を評価したランダム化比較試験(RCT)および観察研究の英語論文を検索。適格性を評価しメタ解析に組み入れた。

 研究40件・2万1,438例を対象としたメタ解析の結果、観察研究においては高齢〔オッズ比(OR)0.99、95%CI 0.98〜1.00〕、生物学的製剤使用歴(同0.44、0.29〜0.67)、高BMI(同0.96、0.94〜0.99)、喫煙歴(同0.8、0.67〜0.98)、喫煙習慣あり(同0.78、0.66〜0.91)と6カ月後のPASI 90達成に負の相関が認められた。RCTではBMI 30以上(同0.57、0.48〜0.66)のみに3カ月後のPASI 90達成と負の相関が認められた。

 なお、件数が少なかったため、生物学的製剤の種類や治療法により関連因子が異なるか否かについてのサブグループ解析は実施できなかった。

体重減量と禁煙で治療反応性が高まる可能性

 以上から、Hjort氏らは「乾癬に対する生物学的製剤治療を行うに際し、高BMI患者では体重減量や生物学的製剤の用量調整により治療反応性が高まることが示唆された。喫煙と乾癬の発症および重症度との関連は確立されており、禁煙には多くの健康上の利点があることから、患者に禁煙を勧めるべきである。生物学的製剤治療歴は治療反応性と最も強い負の相関が認められたが、生物学的製剤を切り替える理由はさまざまであり一次無効例と二次無効例を区別するなど、本質的な交絡変数として考慮する必要がある」と考察。「メタ解析の結果、乾癬に対する生物学的製剤治療の有効性に関連する因子として、観察研究では高齢、生物学的製剤治療歴、高BMI、喫煙が負の相関を示すとのエビデンスが見いだされた。RCTではBMI 30以上のみに負の相関が見られた。しかし、生物学的製剤の種類や治療法別のエビデンスは不足している。このテーマに関する今後の研究は、患者の特性に基づいて治療を個別化する指針となる可能性がある」と述べている。

編集部