駒村康平・慶応大教授(社会政策)の話 少子高齢化が進展する中、社会保障政策は大きな転換期を迎えている。岸田前政権は、年齢にかかわらず能力に応じて負担して支え合う「全世代型社会保障」を提唱し、新型コロナ禍で急速に進んだ少子化を背景に、高齢者も子育て支援策に充てる財源を拠出する仕組みを構築した。
 社会保障の支え手を一定の負担能力のある高齢者にも広げていくのは自然な流れだ。各党の公約でも子育て支援策を充実させる半面、高齢者を念頭に置いた負担の見直しに言及している。
 一方で、各党の描く政策で2040年の高齢化ピーク時を乗り切れるのか大いに疑問だ。40年には認知症などの患者数が計約1200万人に上ると推計され、今から支援態勢を整備すべきだ。未婚率の高い現在40~50代が高齢期に入り、孤独・孤立問題への対応も急務になる。各党には高齢化のピークを見据えた社会の在り方を示すという、政治本来の役割を果たしてほしい。 (C)時事通信社