歯周病は糖尿病の危険因子の1つであり、糖尿病の進行にも影響することが知られている。糖尿病から慢性腎臓病(CKD)や糖尿病性腎症に至ると透析導入のリスクが高まるが、糖尿病患者への歯周病治療が透析導入の予防につながるかは明らかでない。東北大学大学院歯学イノベーションリエゾンセンター講師の草間太郎氏らは約10万人の糖尿病患者の大規模追跡データを分析し、歯周病治療と人工透析移行リスクの関連を検討。歯周病治療を受けている糖尿病患者は歯科受診していない患者と比べて透析導入のリスクが低いとJ Clin Periodontol(2025年1月5日オンライン版)に報告した(関連記事「予防歯科受診が透析患者の予後を改善」「歯の喪失が末期腎不全リスクに関連」)。
1年に1回以上の受診で32%、半年に1回以上で44%低下
草間氏らは医療統計データサービス事業を行うJMDC社が収集した健康保険組合の被保険者のデータから、糖尿病の診断と治療を受けている9万9,273例を抽出。対象者ごとに診断記録が初めて確認された時点を組み入れ日とし、そこから1年間の歯科受診歴を調査した。歯科受診の有無と内容に応じ、①歯科受診なし(4万9,177例)、②歯周病治療以外での歯科受診(7,151例)、③1年に1回以上の歯周病治療での歯科受診(2万1,637例)、④半年に1回以上の歯周病治療での歯科受診(2万1,308例)-の4群に分け、その後の人工透析への移行リスクについて検討した。
その結果、歯科受診なし群と比べた透析導入の相対リスク低下率(RRR)は、1年に1回以上の歯科受診群で32%(95%CI 9~49%、P<0.05)、半年に1回以上の歯科受診群では44%(同23~59%、P<0.001)で、定期的に歯周病治療で歯科受診している群で有意にリスクが低いことが分かった。なお、歯周病治療以外での歯科受診群では有意な差は認められなかった(図)。
図.歯科受診の有無と透析移行リスク
(東北大学プレスリリース)
長期的な歯周病治療継続でリスクはさらに低下
さらに、追跡期間を2年間に延長した解析も行ったところ、透析導入のRRRは、1年目または2年目のいずれかで歯周病治療を受けた群で38%(95%CI 15~55%、P<0.01)、1年目と2年目の両方で歯周病治療を受けた群では47%(同26~62%、P<0.001)だった。これにより、長期的に継続して歯周病治療を受けることが、透析導入のリスク低下と関連する可能性が示唆された。
草間氏らは「糖尿病患者の歯周病管理で透析リスクを低下させる可能性が示されたが、今回の対象者の中でも約半数は歯周病治療を伴う歯科受診をしていない。糖尿病治療における医科歯科連携をより緊密にし、包括的なケアを提供できれば合併症予防やQOL向上、社会全体の医療費負担の減少にもつながるだろう」としている。
(編集部)