治療・予防

幼児にウイルス性の発疹―ジアノッティ症候群
ワクチン接種きっかけに発症も

 ジアノッティ症候群は、ウイルス感染で発疹が出る病気だ。B型肝炎ウイルスを原因とするジアノッティ病という病気が先に報告されたが、その後、他のウイルスでも同じような症状が起こることが分かり、現在ではそれらをまとめてジアノッティ症候群と呼んでいる。横田小児科医院(神奈川県小田原市)の横田俊一郎院長は「ジアノッティ症候群は自然に治る病気なので、あまり心配は要りません」と語る。

ブツブツとした米粒大の赤い発疹が特徴的

ブツブツとした米粒大の赤い発疹が特徴的

 ▽症状は初回感染時のみ

 ジアノッティ症候群は5歳くらいまでの幼児に多く、ブツブツとした米粒大の赤い発疹が、手足の末端や関節の外側、臀部(でんぶ)、頬などに左右対称に表れるのが特徴だ。横田院長は「かゆみはほとんどありませんが、たまに発熱下痢を伴う場合があります。アトピー性皮膚炎があると発症しやすいとも言われています」と説明する。

 原因となるのはEBウイルスが最も多い。EBウイルスはヘルペスウイルスの仲間で、成人の約95%が気付かないうちに感染する、ごくありふれたウイルスだ。他には、コクサッキーウイルスやサイトメガロウイルスなどが報告されている。B型肝炎ウイルスによる発症は、現在では母子感染を防ぐ予防措置が取られていることと、ワクチンが定期接種となっていることで、ごくまれだという。ジアノッティ症候群は、これらの原因ウイルスに初感染した際、一部の人に表れる。

 この病気は、日本脳炎や三種混合などのワクチン接種をきっかけに発症するケースがある。「免疫学的な仕組みが原因と思われますが、詳しいことは分かっていません」と横田院長。親としては次回以降、ワクチンを接種しても大丈夫だろうかと心配になるが、「症状が出るのは初回のみなので、大事なワクチン接種を避けるべきではありません」と強調する。

 ▽発疹のみなら治療不要

 ジアノッティ症候群の診断は、問診とともに血液検査を行う。横田院長は「10~60日ほどで自然治癒するので、発疹以外の症状がなければ治療の必要はありません。かゆみがある場合は、かゆみ止めの塗り薬を使用します」と話す。ただしB型肝炎ウイルスが原因の場合は、長期にわたって肝炎の経過観察が必要になる。

 横田院長は「ジアノッティ症候群は、他の病気による発疹と紛らわしいこともあるので、一度は皮膚科医に診てもらうようにしてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)


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