治療・予防

脂肪付かず痩せていく
まれな難病、脂肪萎縮症

 脂肪萎縮症は2015年7月から厚生労働省指定の難病になった。患者数が少ないことから病態が把握されにくかったが、近年の研究により治療環境が整いつつある。脂肪萎縮症の治療と研究を行っている京都大学大学院(京都市)医学研究科メディカルイノベーションセンターの中尾一和特任教授に聞いた。

 ◇怖い合併症を誘発

 脂肪萎縮症は、全身または部分的に脂肪組織が萎縮する難病だ。食事で摂取したエネルギーを脂肪組織に蓄えられなくなり、本来なら脂肪組織から分泌されるレプチンなどのホルモンが欠乏する。外見は著しく痩せるのだが、食事制限や過度の運動などから生じる「痩せ」とは異なる。

 脂肪がたまらない、別の表現では太らない―というと良さそうに聞こえるが、そうではない。「通常は皮下などの脂肪組織に蓄えられるはずの脂肪が、血液中や肝臓、筋肉などに大量に流れ込むことで、糖脂質代謝異常が生じ、脂肪肝糖尿病、高脂血症などの合併症を引き起こします。また、重症の肥満症と同じく、インスリンがその作用を十分発揮できず、血液中のブドウ糖を筋肉などに取り込みにくくなるインスリン抵抗性状態になります」と中尾特任教授は話す。

 脂肪萎縮症は、生まれた時から症状が出現する先天性と、小児期以降に発症する後天性に大別される。

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