日本小児科学会会長の滝田順子氏は4月3日、福岡資麿厚生労働大臣に対し、全ての新生児や乳児におけるRSウイルス(RSV)感染症の予防戦略として、抗RSVヒトモノクローナル抗体製剤およびRSV母子免疫ワクチンを広く提供するための体制整備に関する要望書を提出した(関連記事「RSVから児を守る!母子免疫ワクチンの可能性」)。

2つのRSV母子免疫ワクチンの安全性に関する情報を提示

 乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の約50~90%がRSV感染によるものと報告されており、RSV感染症は非常に疾病負荷の高い疾患であることが知られている。日本小児科学会では今年(2025年)1月、全ての新生児・乳児に対して抗RSVヒトモノクローナル抗体製剤の投与を提供できるような体制の早期実現を厚生労働大臣に求めていたが、RSVワクチンの接種を受ける妊婦が増えてきたことを受け、あらためて要望書の提出を行った。

 今回は、①副反応等の集積状況からは新たな安全性の懸念が認められていないとする、日本におけるアブリスボ筋注用市販後直後調査第2回中間報告、②母子免疫ワクチンの接種が早産や在胎不当過小(SGA)のリスクと関連しないとする米国のワクチン接種に関する諮問委員会(ACIP)の報告-といったRSV母子免疫ワクチンの安全性に関する情報を提示。RSV感染症の予防戦略としてのさらなる体制の整備を求めている。

(編集部・小暮秀和)