治療・予防

腎臓病や心不全患者は要注意―高カリウム血症
不整脈から心停止も(江東病院循環器内科 高部智哲部長)

 血液中のカリウム値が正常範囲よりも高い「高カリウム血症」。慢性腎臓病や心不全の患者などで発症しやすい。江東病院(東京都江東区)循環器内科の高部智哲部長は「軽症では症状を自覚することは少ないが、重症になると命に関わることもあるため慎重な対応が必要です」と注意を呼び掛ける。

高カリウム血症とは

 ▽細胞の働きに必須

 カリウムは人体に必須のミネラルで、多くは細胞の内部に存在し、筋肉や神経の働きに関わる。広く食品(野菜、果物、肉、魚など)から摂取されるが、余剰分は腎臓から体外に排出され、血液中の濃度は一定に保たれている。

 しかし、腎疾患による腎機能の低下、心不全の薬の副作用などでカリウムの排出が滞ったり、細胞内のカリウムが血液中に出てきたりして、濃度が上昇することがある。「血液1リットル当たり5.5mEq(ミリ当量)以上だと、高カリウム血症と診断されます」と高部部長。

 脈が遅くなる徐脈や倦怠(けんたい)感、しびれなどの症状が見られることもあるが、多くは無症状で、血液検査で偶然、発見されるケースが多いという。カリウム濃度が異常に高くなると、不整脈が生じて心停止に至る危険があるため、緊急治療が必要になる。

 ▽1日1回内服の新薬

 緊急時以外の治療では、普段飲んでいる薬にカリウム値を上昇させる副作用がないかなど、原因を調べた上で、腎疾患のある人がカリウムを多く含む食品を取り過ぎないようにする食事療法、薬物療法が行われる。軽症の場合の薬物療法では、利尿薬やカリウム吸着薬(陽イオン交換樹脂製剤)などが用いられる。

 カリウム吸着薬は、腸内にあるカリウムを吸着して大便中に排出するため、カリウム値の上昇を抑えることができる。原因への対処や食事療法を並行して行い、検査値が改善すればカリウム吸着薬の減量や中止も可能だ。

 既存のカリウム吸着薬は、腸内の水分を吸って膨らむ性質があり、副作用で腸が詰まり、腸閉塞になる恐れがある。また、1日2、3回の服薬が煩雑で、飲み忘れしやすいといった課題もあった。

 今年5月には新薬のジルコニウムシクロケイ酸(商品名ロケルマ)が発売された。水分で膨れる性質はなく、腸を詰まらせる副作用はないとみられる。服薬も1日1回で済む(飲み始めの2~3日を除く)。

 新薬のため、当面は1回に2週間分までしか処方できない。高部部長は「患者さんの状況に応じて既存薬と使い分けることになるでしょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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