医学生のフィールド

グローバルな医療問題を解決する
国際保健領域で活躍するためのキャリア形成とは

 11月29日、メドキャリ主催の医学生向けキャリアイベントがオンラインで開催された。今回の講師は産婦人科医として国際保健に携わり、グローバルな医療の問題に立ち向かうHIRO先生。キャリア選択のエピソードや国際保健領域でキャリア形成するための貴重なアドバイスをリポートする。(文:順天堂大学医学部医学科5年 吉富櫻嘉)

オンラインで開催されたメドキャリ主催の医学生向けキャリアイベント

 ◇モラトリアムの旅で自分のやりたいことを見つける

 学生時代に初めて行った一人旅で世界の貧富の差に衝撃を受け、自分にできることはないか自問自答をしたHIRO先生。初期研修修了後、バイトで資金をため、医療系NGOで2カ月間ボランティアを行う。バックパッカーとしてアジア・南米を周遊する中で海外でのさまざまな経験から国際保健に関わる仕事を目指すことを決意する。そしてフィールドでの需要の広さから産婦人科医を選ぶ。

 ◇発展途上国で臨床医としての限界を実感

 30歳から国際医療協力局(国際保健業務を主体とする国内組織)に所属。カンボジアやザンビア、モンゴルなどにおいて子宮頸(けい)がん検診の立ち上げや産婦人科レジデントマニュアルの作成といった発展途上国の保健プロジェクトを推進、同時期に国境なき医師団にも参加、南スーダンに赴き、産科病棟のマネジメントを経験する。薬・人・輸血など資源が限られている地で緊急手術を行い、日本では救える命が救えないという場面に何度も直面したという。

 本当に現地に必要なものは何かを考え続けて出した答えは、医療教育、病院に続く道路の舗装、治療への金銭的補助など、医療へのアクセスを提供することだった。国際保健領域で大事なのは「Do no harmの原則」を守ること。つまり、現地の人が「かえって迷惑」だと感じる行為をしないよう気をつけなければいけない。

 系統的に国際保健・医療政策を学びたいという強い思いが湧き起こり、ロンドン大学への留学を決意する。ロンドン大学で印象的な授業は医療経済学と感染症疫学。ちょうどこの時期に新型コロナウイルスが流行し、ロンドンの街はロックダウン、学校もすべてオンライン授業になったのを契機に、昨年4月に帰国しオンラインでコースを続けた後、9月に卒業した。

 ◇国際保健領域に進むための思考法

 キャリアを考え始めたら、とにかく情報収集をして選択肢を広げることが大切だとHIRO先生は言う。そして次のステップとして自分の適性を知ること。選択肢の特徴を把握するために有用な「3W1H思考法」を紹介した。

 When:いつから応募ができるのか

 例)卒後いつでも、研修医終了後、専門医取得後、指導医取得後など

 Where:どこで働くことになるのか

 発展途上国、国際組織、研究機関、国際NGOなど

 What:どの分野の業務を行うのか

 例)感染症分野、母子保健、非感染性疾患(NCD)など

 How:どのようなアプローチで貢献するのか

 例)臨床、公衆衛生、政策、研究など

 大原則は「Life is too short(人生は短い)」

 HIRO先生のキャリア形成のモチベーションは好奇心、その上で社会貢献したいという思いがあり、そこに自分の特徴(特殊性)をどう生かすか。これらを組み合わせて考えた時の最適解として、たどり着いたのが国際保健だったという。

 ◇キャリア形成のためのアドバイス

 ①    目的と手段を混同しない
 例えば留学は目的ではなく手段であると認識する。

 ②    プランBを考える
 もちろん一つのキャリアだけに執着せず、代替プランも考えておく。

 ③    礼儀を尽くす
 お世話になった人、影響を受けた人には自分の今後の進路について報告する。

 ④    夢中になれるものを見つける
 その時自分が一番のめり込めるものに没頭する。

 「Life is too short」

 いろいろなことに興味を持ち、自分だけの人生を見つけてください!

 プロフィル
 HIRO先生 

 産婦人科専門医取得後に、国際医療協力局、国境なき医師団を経てロンドン大学へ医療政策学の修士留学。現在、大学研究員としてCOVID-19のデータリサーチ・疫学研究を行っている。2021年からはWHO本部でHPVワクチンに関する部署に配属予定。

 Twitter: HIRO@COVID research

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