治療・予防

繰り返す脇や尻のしこり―化膿性汗腺炎
~慢性化でがんの危険も(虎の門病院皮膚科 林伸和部長)~

 脇や臀部(でんぶ)などにできたにきびのような複数のしこり(結節)が化膿(かのう)して再発を繰り返す化膿性汗腺炎。虎の門病院(東京都港区)皮膚科の林伸和部長は「にきびと違って抗生物質でもなかなか良くなりません。慢性的に進行し、重症化したり傷痕が残ったりするので、必ず皮膚科の専門医を受診するようにしてください」と強調する。

恥ずかしがらずに受診を

 ▽難しい正確な診断

 化膿性汗腺炎は、脇や臀部、鼠径(そけい)部、陰部、女性では乳房下や乳房の間などに、痛みを伴う結節ができる。本来なら剥がれ落ちる皮膚(角層)が、毛穴をふさいで炎症化する。詳しい理由は分かっていない。

 結節は次第に化膿して膿(うみ)がたまった膿瘍(のうよう)になり、範囲が広がり、毛穴同士がトンネルを作るようになる。林部長は「絶えず膿が出る状態が続き、化膿の臭いや痛みで外出や人との接触が嫌になり、日常生活に支障を来すこともあります」と話す。

 20~40代に多いが、思春期頃から発症するケースも少なくない。一般的な「おでき」として治療されるケースも多く、発症してから正確な診断を受けるまで平均して約7年を要している。国内では男性に多く、臀部にできやすい。遺伝的要素が関係する家族性化膿性汗腺炎は欧米では約30%を占めるが、日本では2~3%だという。

 ▽広がる治療選択肢

 従来は抗生物質の内服か、患部の切除手術が行われていた。しかし、2019年2月から新しい治療としてアダリムマブという生物学的製剤の注射が行われるようになった。最初に160ミリグラム、2週間後に80ミリグラム、さらに2週間後からは毎週40ミリグラムを注射する方法と、2週間ごとに80ミリグラムを注射する方法の2通りがある。医師の管理と指導の下、自己注射も可能だという。

 「結核やウイルス性肝炎などの副作用に注意する必要はありますが、手術無しでも日常生活を取り戻すことが可能になりました。患部を縮小させてから手術をすることもできます」と林部長。

 悪化や再発を防ぐために喫煙を控え、肥満にならないよう注意し、患部を清潔に保つことが大切だ。さらに林部長は「臀部や陰部では、重症化すると有棘(ゆうきょく)細胞がんを併発することがあります。恥ずかしいからと受診をためらわないでください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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