自然治癒見込めず―爪甲縦裂症
~皮膚科で気長に治療(秋葉原スキンクリニック 広沢朋子医師)~
爪が縦に裂ける爪甲縦裂症(そうこうじゅうれつしょう)は爪そのものに原因があることもあれば、他の病気や化学物質の刺激などが原因になることもある。秋葉原スキンクリニック(東京都千代田区)の広沢朋子医師は「他の病気の症状として表れるケースもあるので、必ず皮膚科を受診してください」と強調する。
爪甲縦裂症の原因はさまざま。除光液などの化学物質による刺激も一因に
▽大きい亀裂では痛みも
爪甲縦裂症は、手や足の爪に、縦に数ミリから十数ミリの亀裂が生じる。伸びてくる爪も同じように亀裂が生じ、放置してもなかなか治らない。亀裂が大きいと痛みを伴うことも少なくない。
詳しい発症のメカニズムは分かっていないが、考えられる原因は幾つかある。「最も多いのが外的な要因によるものです。爪を作り出している根元の部分をぶつけると、正常な爪が作られなくなります」と広沢医師。
他にも爪の乾癬(かんせん)や扁平苔癬(へんぺいたいせん)、爪の下にできる腫瘍、除光液などの化学物質による刺激などがきっかけとなる場合がある。
また、他の病気から発症するケースもある。「まれですが、糖尿病やビタミンB欠乏症、甲状腺機能低下症、脳下垂体前葉の機能が低下するシモンズ症候群や卵巣機能障害などで発症する場合もあります」
▽ステロイドで治療
治療にはステロイドの塗り薬を使う。爪の根元の皮膚に隠れた部分から先端に向かって塗るのがポイントだ。1日2回の塗布を2~3カ月継続し、きれいな爪が伸びてくるかを確認する。通常、手の爪なら約6カ月、足の爪なら1~1年半できれいな爪に覆われる。他の病気が原因で表れている場合は、その治療も併せて行う。
「治療で改善しなければ、爪の下の腫瘍を疑います。その場合、詳しい検査が必要になります」
普段から爪が弱い人は、乾燥が加わると症状を悪化させやすい。爪の保湿やバランスの良い食事を心掛け、ネイルの除光液は、爪を傷めないようアセトンが含まれていないものを選びたい。
広沢医師は「爪甲縦裂症の原因はさまざまで、通院中に別の原因が見えてくることもあります。治るまで気長に皮膚科に通ってください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/01/23 05:00)
【関連記事】