治療・予防

特徴を理解し、具体的に話そう
~子どもの自閉スペクトラム症(自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児科 門田行史准教授)~

 幼稚園や小学校で他の子どもとのコミュニケーションがうまく取れず、トラブルになる。興味のある遊びは一人で何時間でも続ける。音、光などに過敏に反応する―。そんな様子が子どもにしばしば見られる場合は、自閉スペクトラム症(ASD)の可能性がある。自治医科大学とちぎ子ども医療センター(栃木県下野市)小児科の門田行史准教授に聞いた。

自閉スペクトラム症の診断基準

自閉スペクトラム症の診断基準

 ▽乳児期に「かんが強い」

 ASDは発達障がいの一つ。発達障がいとは「生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態」(厚生労働省)だ。

 発達障がいの子どもを多く診察してきた門田准教授によれば、自閉症、アスペルガー症候群などといった発達障がいをまとめて自閉スペクトラム症と呼ぶ。「20~40人に1人の割合で見られます。他人の気持ちを理解することが難しいなどの対人関係の困難さ、興味や関心への強いこだわり、聴覚、触覚など五感の過敏さが主な特徴です」。その出方には個人差が大きく、多様性があるため、「集合体」を意味する「スペクトラム」という言葉が使われている。

 乳児期に兆しが見られることも。「『かんが強い』『頑固』などと親が感じることが多いようです」。ASDを早期に発見し、専門施設で療育(治療的教育)などのサポートを受けると、発達や行動面に良い影響をもたらすことが分かっているという。

 ▽100点を目指さない

 親や教員の適切な対応が子どもを支える大きな力になるようだ。子どもが診断されたら、まずその特徴をよく理解すること。「ASDを『個性』や『違い』と捉え、専門家と相談しながら、その子に合った対応方法を考えます」と門田准教授。

 「コミュニケーションなどに関しては100点を目指さず、60~70点でよいと思うこと。運動会など普段と違うことがある場合は、事前に十分説明するとよいでしょう。話をするときは短い言葉で区切り、できるだけ具体的に分かりやすく伝えます」

 自信を持たせることも重要だ。門田准教授は「一芸に秀でる人も少なくありません。その子の得意なことをうまく見つけ出し、伸ばしてあげましょう」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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