治療・予防

薬物療法で回復も
~病状はさまざま―拡張型心筋症(新潟大学 猪又孝元教授)~

 心臓が拡張して大きくなり、血液を送り出すポンプ機能が弱くなる状態はさまざまな原因により引き起こされるが、精査してもその原因が分からない場合に「拡張型心筋症」と診断される。症状や重症度などの病状はさまざまで、重症化する患者がいる一方、服薬で回復が見込める例も少なくない。

 新潟大学医歯学総合病院循環器内科(新潟市)の猪又孝元教授は「まず原因となる病気が見逃されていないかを的確に診断します。次に病状に合わせた治療法を選択することが重要です」と話す。

拡張型心筋症の自己管理

 ▽症状あれば心エコー

 心臓から送り出される血液は全身を循環する。拡張型心筋症では心臓の筋肉が傷み、主に左心室の収縮が弱くなるため、十分な血液を全身に送ることができなくなってしまう。

 猪又教授は「心臓のポンプ機能が低下した結果、心不全症状や不整脈を起こします。その程度は患者さんによって異なり、突然死や心臓移植に至る重症例から、ほとんど無症状の患者さんまでさまざまです」と説明する。

 遺伝子異常が原因で発症する子どもの患者もいるが、多くは成人期に診断される。息切れやむくみ、疲労感などの自覚症状が見られるが、X線検査で心臓の拡大として偶然に見つかる場合もある。

 命の危険を伴う心不全や不整脈で救急搬送されるケースもあるので、「自覚症状があれば、早めに心臓の超音波検査『心エコー』を受けてください。拡張型心筋症が疑われる場合は、循環器の専門施設で精査することが大切です」と猪又教授は訴える。

 ▽三つの自己管理も重要

 血液検査や心エコー、磁気共鳴画像装置(MRI)、筋肉を調べる心筋生検などの検査を行っても心筋症の原因が特定されない場合、主に心臓の負担を軽減する管理を進める。治療は、血圧や心拍数などを抑えるβ(ベータ)遮断薬をはじめとする薬物療法が中心。ペースメーカーを入れて微弱な電気刺激を送り、心臓のポンプ機能を補う心臓再同期療法を併用する場合もある。

 「MRIは治療効果を予測し、方針を立てるのにも有用です。適切に治療を組み立てた患者さんの半数近くは、心不全の改善が望めます」と猪又教授。

 患者自身の自己管理も重要だ。「機能が低下した心臓に負担をかけない生活の心得として、〔1〕体重管理〔2〕食塩制限〔3〕感染予防―の三つを実践していただきたい。拡張型心筋症は治療法が進歩し、回復する患者さんも今は多くいます。適正な管理計画を立てるために、専門医療機関の受診を勧めます」と猪又教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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