治療・予防

カビが原因のアスペルギルス症=免疫力低下で深刻な呼吸困難に

 ◇免疫力低下に注意を

 最も注意を要するのは白血病、HIV(エイズ)、抗がん剤治療中の患者など、免疫力が著しく低下した人が感染する「急性肺アスペルギルス症」だ。「肺に生着したアスペルギルスが急激に増殖し、肺が線維化して呼吸不全に至ります。この場合治療は困難で、死亡率は約50%にも上ります」と大谷院長。免疫力が低下しがちな糖尿病患者にも、感染リスクがあるという。

 急激ではないもののアスペルギルスが肺で増殖し、慢性的に呼吸を妨げるのが「慢性肺アスペルギルス症」だ。気管支拡張症間質性肺炎、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、過去に結核を患った場合など、何らかの呼吸器疾患を抱えている人に感染リスクがある。「喫煙習慣のある人は無自覚なCOPDの場合も多く、高齢の方でも禁煙がリスク低減につながります」と大谷院長は言う。

 これらの感染症とは別に、アレルギー反応による「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」もある。早めに発見できれば、ステロイド薬と抗真菌薬の併用などで通常のぜんそく状態には抑え込めるが、手遅れになると気管支拡張症の悪化や肺の線維化など不可逆な症状を起こし、生活には酸素吸入が必要になるという。

 予防法はハウスダストを減らすことだ。ほこりはカビの温床になるので高性能の空気清浄機の使用や、エアコンの内部やフィルターの掃除を心掛けたい。「職場のエアコンも意識してください。メンテナンス不足はほこりやカビを室内にまき散らす恐れがあります」と大谷院長は注意を促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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