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怖い亜鉛欠乏症=口内炎や味覚に変化

 亜鉛欠乏症には承認された治療薬がこれまでなかったため、医師の間で積極的な診断がされてこなかった分野だ。血液検査により体内で不足しているか否かは比較的容易に判定できるので、地域医療の中でかかりつけ医が亜鉛欠乏を疑う症状がみられる患者さんに対し血液中の亜鉛値の検査を勧めることがポイントになる。

◇サプリ過剰摂取は危険

気を付けたいのが亜鉛成分の補充をうたったサプリメントの扱いだ。大量の亜鉛を含んでいても、吸収効率が低い亜鉛の多くは腎臓を通して体外に排出されてしまう。しかも多くのミネラルと同様、亜鉛も過剰摂取が続けば中毒症状を引き起こしたり、それ以前に腎機能の低下を誘発したりしてしまう。亜鉛の摂取上限量は原則として1日15ミリグラムとされている。

東京医科大病院の榎本栄養科長は「軽度の亜鉛不足は、不足が解消されればすぐに自覚症状も改善される。まずはどの程度不足しているか血液検査で医師に診断してもらい、回復したら服薬を止める必要がある」と言う。特に肝臓や腎臓などの病気で亜鉛の代謝が低下している場合、過剰な摂取は逆に腎臓に大きな負担を掛けてしまい、腎障害など亜鉛不足の原因となっている病気を悪化させてしまうこともある。

榎本科長は「サプリメントのユーザーには推奨量以上を飲む人も少なくないし、食習慣や持病、年齢による内臓機能の低下の度合いなどが異なれば、亜鉛の不足量も一人一人違ってくるのが当然だ」と指摘する。ベテランの榎本科長は患者の生活習慣をよく聞き取りながら、病状や治療の進行度合いに応じて病院食のメニューを調整。その上で同科長は「医学的には異常がないのに、より健康になりたいと思ってミネラルを多く含むサプリメントを摂取し続けると、金属中毒になってしまうこともある。鉄や胴、亜鉛などのミネラルも過剰摂取を続ければ中毒症状を起こすリスクがある。まず管理栄養士に食生活や症状を相談するか、医師の診察を受けた方がよいだろう」とアドバイスする。(喜多壮太郎)

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