治療・予防

「ミイラ便」は危険信号
~QOLにも影響する便秘~

 食事後に排便の習慣を

 食事を取れば、反射的に排便しやすくなる。そのタイミングは朝食の後が最も良いが、その時間を取れない場合もあるだろう。そういうときは、夕食後にトイレに行く習慣を付けたい。

 「排便がスムーズな状態と便秘を繰り返すことは多い。大腸の働きは活発になったり、低下したりするからだ。検査をして何も異常がないこともある。ただ、便秘がずっと続くようであれば、きっかけとなる病気が隠れている可能性がある」

 全体的に便秘下痢の状態を行き来するケースが多い。腸内環境の悪化は血流にも影響し、女性にとって気がかりな肌荒れにもつながりやすいという。

便秘で悩まないために必要なこと

便秘で悩まないために必要なこと

 ◇腸内環境整える「三種の神器」

 便秘改善のために、市販薬を服用するのはどうだろうか。工藤医師は「飲むことを止めはしない」とした上で、注意点を挙げる。服用している時は調子が良いが、やめると調子が悪くなる。また、3週間以上服用しても効果がない場合、特に40代以上は受診した方がよい。

 今年の夏は猛暑が続き、例年にも増して熱中症への警戒が呼び掛けられた。熱中症対策の一つは小まめな水分補給だが、便秘を改善するための対策も同じだ。

 「あまりに水分が不足すると、便に行く水分が減って便がミイラ化してしまう。熱中症シーズンの夏に限らず、コップ1杯か2杯分の水を余分に取るようにしてほしい」

 大腸の活動を活発にする「腸活」という言葉が次第に定着してきた。工藤医師は「腸内には善玉菌と悪玉菌がいる、という考え方は日本のものだ。大切なのはこれらのバランスで、菌の多様性が重要ということも分かってきた」と言う。

 善玉菌を活性化させるのが食物繊維だ。いわば、善玉菌の餌となる。ゴボウなどの根菜類、ワカメやメカブ、キノコなどを食卓に採り入れたい。

 善玉菌の代表はビフィズス菌。ヒトの大腸に多くすみ、整腸作用の効果がある。腸内フローラに占めるビフィズス菌の割合は、日本人の方が外国人より高いとされてきた。ただ、日本人でも高齢になるとビフィズス菌は減少する。工藤医師は若い世代についても「食の欧米化や清潔過ぎる環境で昔に比べて、この菌が少なくなっているのではないか」と懸念する。

 ビフィズス菌を補うヨーグルトやサプリメントは、水分補給、食物繊維の摂取と合わせ、腸活の「三種の神器」といわれている。(鈴木豊)

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