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花粉症、怠りなく予防・治療を
~飛散量多めか~

 「国民病」「春の憂鬱(ゆううつ)」などと呼ばれて久しいスギとヒノキの花粉によるアレルギー性鼻炎(花粉症)。2024年シーズンの花粉飛散量は、大量だった昨年を下回るものの、平年より多めと予想されている。鼻炎の他にも目や皮膚のかゆみ、集中力の欠如などに悩まされる人もいるだけに、十分な対応を心掛けたい。

花粉症の「元凶」であるスギの花

花粉症の「元凶」であるスギの花

 ◇昨夏は猛暑だったが

 スギは花粉を作る雄花が前年の6~7月に成長する。昨夏は猛暑だったため大量飛散を想像してしまうが、「それほど単純ではない」と専門医は指摘する。

 「スギ花粉症が問題になった1980年代は、第2次世界大戦後の復興期からその後の高度成長期に一斉に植林したスギが花粉の飛散を本格化させた時期。スギの本数自体が増加しただけでなく、多くの木が成長期となり毎年の飛散量が増えていたため、多くの患者が生まれたとみられる」。日本医科大の後藤穣准教授(耳鼻咽喉科)はこう指摘。その上で、「現在では本数の増加はわずかだし、木の多くが成熟して飛散量は安定している。前年の気候などで飛散量が変動する幅は以前よりは小さくなった」と話す。

 ◇マスクや眼鏡活用、衣服にも配慮

 例年並みの飛散でも、多くの人が症状に苦しむ。後藤准教授によると、日常生活の上で、マスクを使うのはもちろん、花粉が付着しにくい素材の服装を選んだり、建物への出入りなどで体に付着した花粉を払い落としたりするなどの対応は症状の緩和に有効だ。また、コンタクトレンズも目の炎症を引き起こしやすくするため、目のかゆみなどがある間は眼鏡に切り替えた方が安全という。

 ◇我慢超えたら受診

 それで乗り切れたらいいが、我慢できないなら耳鼻科、併せてアレルギー科を掲げている医療機関を受診しよう。診療ではまず原因物質がスギ・ヒノキの花粉かどうかを検査で確認。その上で、鼻腔(びくう)や目などの炎症の状態に応じた治療を受ける。

 治療は一般的に、アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬の内服が中心になる。鼻詰まりなどがあれば別の種類の薬が加わるほか、鼻炎が激しい場合は点鼻ステロイド薬、目の症状が強い場合は点眼薬などを組み合わせる。「ステロイドというと副作用を心配する人もいるが、点鼻で局部に使用する場合は心配要らない」と同准教授は強調している。

 ◇市販薬はよく相談を

 ただ花粉症を発症した多くの人は、医療機関を訪れずに薬局で市販薬(OTC)を購入して対応しているようだ。OTCは広告に掲載されたり薬局の店頭に並んでいたりして人目を引くが、「強い眠気が生じるので使えない」と嫌う人もいる。眠気をもたらす従来の抗ヒスタミン薬が使われているのが原因だ。後藤准教授は「『アレルギー性鼻炎用』として、眠くならない新しい世代の抗ヒスタミン薬を使うOTCも発売されている。店頭で薬剤師とよく相談し、薬を選んでほしい」と話している。(喜多壮太郎)

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