世界に遅れる日本の人工妊娠中絶
~かかりつけ医持とう~ 産婦人科・堀本江美医師に聞く(下)
◇産婦人科に早く相談を
―中絶によるダメージを避け、自分の体を守るために、女性は何を知っておくべきですか。
まず、何かあったときに気軽に相談できる産婦人科のかかりつけ医を持つようお勧めします。確実な避妊法として低用量ピルなどを処方してもらえますし、飲み忘れて避妊に失敗したかもしれない場合に緊急避妊薬を処方してもらうこともできます。
避妊だけでなく、月経困難症や子宮筋腫、子宮内膜症など女性特有の婦人科の病気はいろいろあります。晩産化が進むにつれて、こうした病気に悩まされる人は増えていますから、重症化する前に早めに産婦人科で相談することが大切です。
初経を迎える年齢が低下する半面、初産の年齢は遅くなる一方です。第1子の出生時の母の平均年齢は、2015年に30歳を超え、21年には30.9歳になりました。1975年には25.7歳でしたから、この40年で5年も遅くなっているのです。
結果的に、月経が妊娠によって中断されない期間が非常に長くなり、子宮筋腫、子宮内膜症に悩まされる人の増加につながっています。だからといって、病気にならないために早く出産するというわけにはいかないでしょう。
自分が出産したいと思う時まで、健康な状態を保っておきたい。そのためには、月経のコントロ-ル法、性感染症の予防、望まない妊娠を避けるための避妊、人工妊娠中絶による合併症の予防など、できる対策はしておいた方がいいのです。現代を生きる女性の知恵として、自分の体を危険から守り、人生を謳歌(おうか)してほしいと思います。(ジャーナリスト・中山あゆみ)
堀本院長
堀本江美(ほりもと・えみ)
1988年札幌医科大学卒業、94年同大大学院修了、医学博士。99~2016年に同大の非常勤講師などを務める傍ら、02年に医療法人社団ブロッサム苗穂レディスクリニック院長に就任。12年から北海道女性医師の会副会長。
北海道の児童虐待防止プロジェクトや性暴力被害者の支援にも力を注ぎ、18年度の日本女医会荻野吟子賞を受賞した。
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(2024/05/21 05:00)
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