治療・予防

口唇口蓋裂は早期の対処を=手術回数減らす最新治療も

 子どもが唇や口の中の上顎が裂けて隙間ができた状態で生まれてくる口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)。先天的な異常によるもので、日本人は500~600人に1人と、海外に比べて頻度が高いといわれている。その治療について、神奈川県立こども医療センター(横浜市)形成外科の小林真司部長に聞いた。

 ◇術前にプレート矯正

 口唇口蓋裂の原因はまだ分かっていないことも多いが、遺伝的要因、環境要因、その双方が関連するケースがあるとみられている。原因となる遺伝子は一つではなく、「まだすべてが特定されているわけではありません」と小林部長。

 近年は、超音波検査の精度が高くなり、妊娠中の検査で口唇口蓋裂が判明して事前に告知されるケースも増えている。だが、口の中が裂けているものは超音波検査では分からないため、出産して初めて判明する。

 口唇口蓋裂には、大きく分けて(1)口唇裂(2)口蓋裂(3)顎裂―があるが、いずれも見た目や言語、かみ合わせに問題が生じるため、いじめの原因になることも少なくない。

 従来は生後3~4カ月から複数回手術が必要だったが、同センターでは全身状態に問題がなければ、矯正歯科医や小児歯科医の協力の下、出産翌日には術前顎矯正プレートによる治療を開始する。

 「出生直後から始めることで顎が矯正しやすくなり、隙間が狭くなることで手術の回数の減少につながります。1カ月以内に開始すれば、プレートである程度矯正は可能です」と小林部長。

 プレート装着期間は個人差があるものの3~6カ月がめどとなる。生後3カ月を経過するとプレートの矯正効果は期待できないため、早期に治療を開始することが重要だ。

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