治療・予防

7人に1人は水虫
~治療しないと爪まで広がる恐れ(神奈川はた皮膚科クリニック 畑康樹院長)~

 日本人の7人に1人は足の皮膚に水虫があることが、日本臨床皮膚科医会による調査で分かった。調査に携わった神奈川はた皮膚科クリニック(横浜市)の畑康樹院長は「適切な治療を受けないと、水虫菌が爪まで広がったり、家族にうつったりする恐れがある」と指摘する。

日本人の水虫・爪水虫の頻度

日本人の水虫・爪水虫の頻度

 ◇加齢とともに増加

 水虫は、白癬菌(はくせんきん=水虫菌)というカビが皮膚に感染して発症する。足の指の間の皮がむけてジクジクする、足の裏に小さな水疱(すいほう)が多発する、といった症状が表れる。だが、かゆみが乏しいなどの理由で受診しない人もいるとみられる。

 水虫を放置すると菌が爪の中にまで入り込み、「爪水虫」になることが多い。爪水虫を長く放っておくと、爪が分厚く変形して歩きにくく、つまずきやすくなる。高齢者では転倒につながりかねない。バスマットやスリッパなどを介して同居する家族などに菌をばらまく可能性もある。

 水虫や爪水虫の潜在的な患者数を知るため、日本臨床皮膚科医会は昨年4~5月、足の皮膚や爪の水虫以外の理由で受診した患者1万4588人について調査を実施した。

 その結果、足の皮膚の水虫の罹患(りかん)率は7人に1人、爪水虫は13人に1人で、皮膚か爪いずれかに水虫がある割合は6人に1人だった。どちらかに罹患している人は加齢とともに増え、70歳以上では男性の約3割、女性の約2割に上った。

 ◇治療は根気よく

 「水虫は、一般の方が判断できる病気ではありません。おかしいと思ったら皮膚科の専門医を受診してください」と畑院長。菌の有無を顕微鏡で調べるなどして診断がつけば、治療にはカビを殺す抗真菌薬が使われる。皮膚にはクリームなどの塗り薬、爪なら飲み薬か塗り薬がある。

 皮膚の薬は足の裏から指の間、甲まで満遍なく塗ることが大切だという。「治療を始めれば、周囲への感染力は低下します。症状も軽快しますが、菌に侵された皮膚が健康な皮膚に入れ替わるまでの期間を考えれば、良くなっても1~数カ月は続けましょう」

 爪が根元から新たに生えるスピードは毎月1~1.5ミリ程度とされる。親指なら生え替わるまでに約1年かかる。「塗り薬は根気よく続けます。飲み薬を使う人は、医師から指示された服用期間の終了後も受診し、状態を確認してもらうとよいでしょう」と畑院長はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】


新着トピックス