治療・予防

「声がれ」にはセルフケア=長引いたら受診を

 風邪を引いたり、深酒をしたりした時などに起きる声がれ。一時的なら心配ないが、長引く場合にはきちんと検査を受ける必要がある。声がれの原因や注意が必要な場合について専門医の東京ボイスクリニック品川耳鼻いんこう科(東京都港区)の楠山敏行院長に話を聞いた。

 ◇潤いが足りない
 喉の奥にある声帯が振動する状態をギターで例えると、声帯は弦で、それをつま弾くのが私たちの吐く息だ。声帯が息で弾かれ、声のもととなる「喉頭原音」がつくられる。この段階ではブーンという音でしかないが、喉や口腔(こうくう)を通過する間に共鳴し、舌や唇で修飾されて声となる。

 このプロセスに何らかの異常が生じると、声がれが起きる。楠山院長によれば、風邪を引いたときなどに生じる一時的な声がれの多くは乾燥が原因。粘膜で覆われた声帯が乾燥してスムーズに動かなくなるからだ。

 「飲酒時に声がかれるのはアルコールの作用で喉が乾燥するため。スポーツ観戦で大声を出し続けたときも、口呼吸で喉が乾燥して声がれが起きます。車のエンジンに例えるならエンジンオイルが足りない状態。潤い不足は声帯にとって大きな負担となるのです」

 ◇悪化すれば手術も
 乾燥による声がれはセルフケアで自然に軽快する。大切なのはできるだけ声を出さないことと、潤いを十分に保つこと。部屋の湿度は60%程度が理想的。口呼吸は外気が直接声帯を刺激するため、鼻で呼吸した方がよい。空気が乾燥しているときはマスクも有効で、もちろん喫煙は厳禁だ。

 一方、声がれが長引いた場合は病気の可能性もある。声帯ポリープはカラオケなどでの無理な発声で声帯の血管が破れて血豆ができるもの。自然治癒はほとんどなく、手術で除去しなければ声は元に戻らない。「声帯結節」は長期間の声の使い過ぎで声帯にコブができる病気。悪化すると薬物治療や手術が必要となる。

 最も注意したいのが声帯に腫瘍ができる喉頭がんだ。また、声帯が動かなくなる反回神経麻痺(まひ)も頸部(けいぶ)・胸部のがんや大動脈瘤(りゅう)など重大な病気が隠れている可能性がある。「セルフケアで改善するかは1週間から10日が目安。それ以上たっても改善しない場合は耳鼻咽喉科で診てもらいましょう」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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