Dr.純子のメディカルサロン
喫煙者と禁煙者の壁、どうなくす? 長谷川一男・日本肺がん患者連絡会理事長
妻という立場の人が罹患(りかん)し、夫が吸い続けるという状況なのですけれども、ずっと対立です。命に限りがあると言われて前向きに全うしよう、と生きている者にとって、この対立は本意ではないです。
また、そうした価値観を受け継いでいる若い世代の方もいます。そうしたことも、たばこに関して罪悪感がない背景になっているように思いますが、いかがでしょうか。
長谷川 日本はたばこに対して緩い、甘い社会だったかもしれないですが、この法律ができ、東京都の条例もありますので、価値観は変わっていくのではないかと思っています。
単純に喫煙できない場所が増えます。今までは新聞やテレビの中で、受動喫煙の法律が議論されていましたが、それが大きな実効性を持って、自分たちの生活の中に入り込んできます。
若い世代はその規制に対し、たばこは害のあるもの、と実感するのではないでしょうか。今まではマナーという言い方、人に迷惑を掛ける、掛けないといった表現が使用されていましたが、それもなくなります。「危害」という言葉に変わっていくと思います。
また法律や条例施行後には調査が行われ、健康への影響も明らかになってくると思います。レストランや酒場を全面禁煙にしたら、心筋梗塞の発生が激減した、という研究があります。
この研究には続きがあり、町は禁煙から喫煙可に戻したそうです。すると、心筋梗塞が増えたといいます。すでに健康被害は証明されているのですが、さらにさまざまな調査が裏付けていく。世の中は間違いなく変わっていくのではないかと思います。
(2018/07/23 11:30)