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喫煙者と禁煙者の壁、どうなくす? 長谷川一男・日本肺がん患者連絡会理事長


 妻という立場の人が罹患(りかん)し、夫が吸い続けるという状況なのですけれども、ずっと対立です。命に限りがあると言われて前向きに全うしよう、と生きている者にとって、この対立は本意ではないです。

 7月10日には参院厚生労働委員会で意見陳述した=国会内
 患者になると、普段の何気ない日常がすごく大切なのだと気付くのです。「笑顔」「幸せ」、そんな言葉が心の中を占めます。そして、一番大切な人に健康でいてほしい思いが誰よりも強く湧き上がります。その思いが、なぜ対立になるのか。


 海原 日本はたばこと酒に関して非常に緩い、甘い社会だと思います。たばこを吸って一人前、たばこは格好いい、男らしさの象徴というイメージが、価値観として今の60代以上の人には残っています。

 また、そうした価値観を受け継いでいる若い世代の方もいます。そうしたことも、たばこに関して罪悪感がない背景になっているように思いますが、いかがでしょうか。


 長谷川 日本はたばこに対して緩い、甘い社会だったかもしれないですが、この法律ができ、東京都の条例もありますので、価値観は変わっていくのではないかと思っています。

 単純に喫煙できない場所が増えます。今までは新聞やテレビの中で、受動喫煙の法律が議論されていましたが、それが大きな実効性を持って、自分たちの生活の中に入り込んできます。

 若い世代はその規制に対し、たばこは害のあるもの、と実感するのではないでしょうか。今まではマナーという言い方、人に迷惑を掛ける、掛けないといった表現が使用されていましたが、それもなくなります。「危害」という言葉に変わっていくと思います。

 また法律や条例施行後には調査が行われ、健康への影響も明らかになってくると思います。レストランや酒場を全面禁煙にしたら、心筋梗塞の発生が激減した、という研究があります。

 この研究には続きがあり、町は禁煙から喫煙可に戻したそうです。すると、心筋梗塞が増えたといいます。すでに健康被害は証明されているのですが、さらにさまざまな調査が裏付けていく。世の中は間違いなく変わっていくのではないかと思います。


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