治療・予防

交代勤務での睡眠障害
他の病気のリスクも

 工場や小売店、医療、介護現場などで交代勤務者が増える中、睡眠時間帯が頻繁に変わることで不眠や眠気など睡眠障害に悩まされる人が少なくない。交代勤務による睡眠障害での中長期的な影響として深刻なのは、生活習慣病やがんのリスクが高まることだ。国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)精神保健研究所精神生理研究部の三島和夫部長に対処法などについて聞いた。

夜勤前・夜勤中・夜勤後の仮眠のポイント

 ▽生体リズムに乱れ

 人の体には全身の細胞ごとに「体内時計」があり、脳の体内時計の指令で、日中は体が活動状態に、夜は休息状態に切り替わる。その際大事なのが、眠りを誘うメラトニンというホルモンの分泌や深部体温などさまざまな生体機能のリズムと睡眠時間帯をマッチさせることだ。夜勤などでその関係が崩れると睡眠障害になる人が多い。だが、本当に怖いのは睡眠や生体リズムの乱れが続き、他の病気になるリスクが高まることだ。

 交代勤務を始めて数週間から1カ月ほどで表れやすいのが胃炎や胃部不快感、下痢と便秘を繰り返すといった消化器症状だ。倦怠(けんたい)感や動悸(どうき)などの自律神経症状、腰痛や肩凝り、月経不順、眼精疲労、抑うつなどを訴える人もいる。中長期的には「高血圧や糖尿病などの生活習慣病やがんのリスクが高まることが明らかになっています」と三島部長。

 ▽体内時計動かさない工夫

 睡眠障害に伴う病気は睡眠を取れば解消できると考えやすいが、体内時計は自在にコントロールできず、各細胞の体内時計も連動していない。三島部長は「睡眠障害が改善してもがんや生活習慣病などのリスクは減少しません」と説明する。体内時計を正常に戻すには最低3週間はかかり、睡眠時間が日々変わる交代勤務者には時間的余裕もない。「交代勤務と健康の問題でベストな方法はないのです」

 三島部長は交代勤務による睡眠障害に悩む人に「体内時計をできるだけ動かさない工夫をして」と夜の睡眠への影響を少なくするよう求める。具体的には、夜勤前の仮眠は夕方前にすることや、夜勤後の仮眠はできるだけ短くすることなどだ。

 「夜勤明けに眠りたいのに眠れない人は、作用時間の短い睡眠薬で改善することもあります。夜勤開始から数カ月たっても眠気などの問題で困っている場合はかかりつけ医に相談してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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