FEATURE レポート紹介

医療現場で求められる「コミュ力」養う
=1962年創立のJIMSA=

JIMSA(Japan International Medical – ESS Students' Association)は関東地区を中心に計11大学、約450人の医療系学生が参加する「医学英語」を学ぶ団体だ。英語や医学のスキルアップを目標に、大学の枠を超えた交流を楽しんでいる。

3つの活動で医学英語を磨く

 JIMSAは1962年、「日本の医学生の国際的活動を促進すること」を目的に、当時慶応大医学部に所属していた石塚幸雄氏によって設立された。日本で最も歴史のある医療系学生団体の一つとして知られている。活動のベースにあるのは医学英語の学習で、具体的な活動内容は「ELT Section(一般英語部門)」、「BM Section(基礎医学部門)」、「CM Section(臨床医学部門)」の3つに分類される。
 ELT Sectionでは、英語によるディベート大会やスピーチコンテストなどを開催し、医学の知識が乏しい低学年の学生でも気軽に参加できる内容になっている。中でも、「ドラマプロジェクト」はユニークだ。近年、医療の現場では医師だけでなく看護師や薬剤師も協力し、患者中心の医療を実現しようとする「チーム医療」という考え方が浸透している。ドラマプロジェクトは、自分たちが制作した英語劇で一人ひとりが役割を全うしながらチーム医療の考え方を身に付けていく活動だ。
 そのほか、BM SectionではBMC(基礎医学研究発表会)とUSMLE(米国医師資格試験)を用いた勉強会を、CM SectionではCPC(臨床病理症例検討会)と臨床医学に関する勉強会をそれぞれ開催している。難解な内容のものもあるが、学生一人ひとりが高い意欲を持って参加している。

パワーポイントなどを使って発表、議論する

左から東京女子医科大3年の原奈都子さん、
帝京大4年の上垣怜央さん、帝京大3年の佐野友紀さん

パワーポイントなどを使って発表、議論する

JIMSAの代表的な活動であるスピーチコンテスト。関西と九州で年1回ずつ行われている

パワーポイントなどを使って発表、議論する

夏に行うサマーキャンプでは、語学の学習だけでなく
レクリエーションも楽しんでいる

つながることで人間的な成長を求めて

 JIMSAに所属する学生の目的は、英語力の向上だけではない。本質にあるのは学生同士の交流だ。人間的な成長を求めて、入会する学生も多い。
 「学内だけの活動では視野も人間関係も狭くなってしまいます。特に医学部は閉鎖的な側面が強いように感じます。そこで、新しいコミュニティーに参加して共に学ぶことで人間的に成長できるはずだ考え、参加している学生が多いと思います。英語が不得意でも問題ありません。まずは『やってみよう!』という気持ちを私たちは歓迎します」と東京女子医科大3年の原奈都子さんは話す。
 いざ医学部に入学しても卒業後のイメージができてない学生も多い。そうした学生にとっても「JIMSAは救いの場になる」と帝京大3年の佐野友紀さんは話す。「将来が不透明で不安を感じている学生も多いと思います。実際、私もそうでした。JIMSAに参加することで同世代の先輩や後輩だけでなくOBやOGとの交流が生まれますし、貴重なアドバイスももらえます。私はJIMSAの活動を通して、病理についてもっと学びたいという目標が生まれました」。

パワーポイントなどを使って発表、議論する

毎年3月にJIMSA Spring Sessionを開催。
ACLS(二次心肺蘇生法)の練習をしているところ

近未来で活躍できる医師になるため

 「コミュ力」という言葉を耳にしたことがある人も多いはず。コミュニケーション能力の略語で、特に大学生の間で日常的に使われている言葉だ。この「コミュ力」がこれからの医療現場で求められる、と帝京大4年でJIMSA代表を務める上垣怜央さんは説く。
 「医療の現場にAIやロボットシステムの導入が進み、医師の診察を必要としない未来が訪れるかもしれない。そんな記事を専門誌で目にします。そのとき、私たちに求められるのは患者さんと信頼を築き、満足度を高めることができるコミュニケーション能力ではないでしょうか。JIMSAは、そうしたスキルを磨くことにも役立つ場所です」(上垣さん)
 上垣さんは「もともと社交的な性格ではなかった」と自身を振り返る。コンプレックスを克服するためにJIMSAに参加。そのころは数年後に自身がJIMSAの代表に就くとは想像もしておらず、「少なからず僕は変わりましたね」と笑う。
 仲間と共に学び合うことで感じる達成感、そして他者とつながることで養われるコミュニケーション能力こそ、JIMSAで得られる最大の恩恵なのかもしれない。上垣さんは「JIMSAにはディベート大会やスピーチコンテストなど、魅力的なコンテンツがそろっています。先輩たちが築いてきた歴史と実績もあります。これからの目標は、それぞれの活動のレベルを上げていくこと。そして、自分たちの活動を外に向けて積極的に発信していくことですね。私自身、大勢の仲間と出会って変わることができました。もっと大勢の仲間たちと共に高め合い、喜びを分かち合いたいと思います」と語った。