女性アスリート健康支援委員会 「食」の要注意サイン、ありませんか
思春期の摂食障害、背景に「伸び悩み」のケースも
スポーツ女子の「落とし穴」と「気づき」のサインは
◇「月経が止まる」「歯が溶ける」といった変調も
スポーツ女子の家族は、一緒に食卓を囲んでいれば、極端にやせる前に、「最近、朝食を食べない」「自分が食べないで家族に食べさせようとする」といったサインに気づくこともあるでしょう。
ただ、さまざまな事情から、一人で食事を取る「個食」の中高生も多く、なかなか気づかないこともあります。特に過食症は、拒食症以上に患者が多いのに、見た目の体形がほとんど変わらないので、家族や友人を含む周囲の人に気づかれにくいといえます。
西園マーハ先生によると、過食のコントロールが効かなくなっても、病気と思っていない人が少なくないそうです。「自分の意志が弱いのが悪い」「恥ずかしい」と思っているので、周囲には、過食や嘔吐(おうと)などの症状を隠し、「食べてはこっそり吐く」といった行動を繰り返すようになります。
高校時代から親元を離れて寮生活を送ったり、大学に入って1人暮らしになったりすると、拒食症も過食症も、一層気づかれにくくなります。
拒食症の場合は「月経が止まる」「腸の動きが非常に悪くなる」、過食症の場合は「嘔吐で唾液腺が腫れる」「胃酸で歯が溶ける」といった体の変調の自覚が、医師の診察につながることがあるので、そうした機会に、摂食障害の問題についても拾い上げ、受診につなげる必要があります。
◇体のけがと同様、心の病気も直すのが先決
これまで紹介したような発症のきっかけと、病気の特徴やサインに、中高生本人や家族が注意することが、摂食障害の予防や早期治療につながります。部活の指導者や学校の養護教諭らが、子どもたちに目配りすることも、やはり大切です。
「摂食障害かもしれないので、医師の診察を受けた方がよいかも」と感じるようになっても、スポーツをがんばっていると、受診にためらいがあるかもしれません。「『レギュラーを外されるかもしれない』などと考える人がよくいて、受診が遅れがちです。そんな空気を変え、受診しやすいようにしなくてはいけません」と西園マーハ先生。
体のけがと同様に、心の病気もまず治し、それからまたスポーツをがんばるのが一番でしょう。(水口郁雄)
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(2019/07/26 16:00)