「医」の最前線 新専門医制度について考える

外科の概念が変わる、最先端医療に挑む 
~脳神経外科医の社会的な役割とは~ 第16回


齊藤延人医師

齊藤延人医師

 ◇高度化、細分化する脳神経外科医療

 脳神経外科専門医は、脳神経疾患全般に関する広範囲で深い知識や外科技術を備えることで、診断から治療、長期的な健康管理まで包括的に診療することができるのですが、脳神経外科の知識と診療技術は年々高度になり、細分化が進んで治療可能な領域がどんどん広がってきています。

 繊細な神経を扱う外科技術や神経や疾患に関する高度な知識が求められるため、1人の脳神経外科専門医が脳神経疾患の全ての分野に精通することは難しくなってきています。より専門性の高いサブスペシャルティを日本脳神経外科学会の関連学会で学び、認定を取得し、その後も生涯に亘って学び続ける必要があります。

 ◇男性女性関係なく修練できる環境づくりを目指す

 女性医師の増加に伴い、脳神経外科医を志望する女性も増えてきています。当院でも毎年1人ぐらいは入ってきます。働き方改革も進んでいるため、昔ほど激務に耐えながら仕事をこなすという状況ではなくなってきましたが、専門医を取得するまでは男女問わず、それ相応に自助努力の必要があります。人の生命や生活を脅かす病気に挑むことで、やりがいもあり、興味を持って切磋琢磨(せっさたくま)しながら頑張っている人が多いです。家庭や子育てと両立されている女性もいますので、育休を取っても、いつでも復帰できるような体制など、両立支援のための制度を整えることが大切だと思っています。

 ◇脳神経科学の面白さを伝えたい

 CTやMRIの画像診断技術も向上していますので、心配のある方は定期的に検診されることをお勧めします。救急で運ばれた場合でも日本の医療の質の高さを信頼していただき、安心して任せていただければと思います。神経科学の世界は、まだ解明されていないことも多く、脳神経外科疾患はバリエーションが豊富なので、より多くの方に興味を持っていただければと思います。(了)

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