「医」の最前線
連載趣旨と略歴
◇体験して初めて分かる、治療のつらさ
乳がんに関する情報はあふれている。しかも、私はその道の第一人者への取材活動を通じて、基本的な知識は持っているつもりだった。そんな恵まれた情報環境にありながら、いざ自分が乳がんになったとき、「こんなはずじゃなかった」という場面に何度となく直面した。特に生命が救われることに焦点が集まる一方で、あまり触れられてこなかった術後の痛みや、治療に伴う副作用は、経験してみなければ全く分からなかった。医療の進歩により、多くのがんが不治の病ではなくなり、なかでも乳がんは予後の良いがんと言われる。早期発見なら怖くない、しかし、そんなに簡単なものではなかった。
【中山 あゆみ】
ジャーナリスト。明治大学卒業後、医療関係の新聞社で、医療行政、地域医療等の取材に携わったのち、フリーに。新聞、雑誌、Webに医学、医療、健康問題に関する解説記事やルポルタージュ、人物インタビューなど幅広い内容の記事を執筆している。
時事メディカルに連載した「一流に学ぶ」シリーズのうち、『難手術に挑む「匠の手」―上山博康氏(第4回・5回)』が、平成30年度獨協大学医学部入学試験の小論文試験問題に採用される。著書に『病院で死なないという選択』(集英社新書)などがある。
医学ジャーナリスト協会会員。