小松康宏 医師 (こまつやすひろ)

聖路加国際病院

東京都中央区明石町9-1

  • 腎臓内科
  • 副院長
  • 部長

腎臓内科 内科

専門

慢性腎疾患

小松康宏

慢性腎臓病の名医として有名だが、いわゆる〝神の手“はめざさない。「重要なのはチーム医療」という信念のもと、患者本人も含め、看護師・栄養士・薬剤師ら専任スタッフと協働で病気に立ち向かう。また「患者本位の医療」を実践する立場から、日本の病院ではめずらしく腹膜透析と家庭血液透析にも力を入れている。「標準的な治療はすべて過不足なく提供できるようにする」がモットー。内科が中心となった腎臓移植を実施し、保存期腎不全から移植後の感染症、血圧・血糖コントロール、循環器疾患などの合併症に対しても安全性の高い医療を提供している。

診療内容

「慢性腎臓病の医療で大切なのは、いわゆる〝神の手“ではありません。標準的な治療はすべて過不足なく提供できるようにすること。そしてチーム医療です」と小松医師は断言する。その言葉の背景に潜むのは「標準的な治療が過不足なく提供できていない」日本の医療の現状だ。
たとえばあなたが今、末期腎不全に陥り、透析療法が必要になったとしよう。透析療法には血液透析と腹膜透析の2種類があるが、日本の透析患者のおよそ97%は血液透析を受けている。ヨーロッパでは患者の約20%、香港は70%以上が腹膜透析を受けているのに比べると、極端さが際立つ。
「血液透析は専門の医療スタッフが行うので、非常に人件費がかかります。週3回通院し、4時間かけて透析しなくてはなりません。通院時間をいれたら6時間ぐらいかかってしまいます。1日おきに6時間というのは大変な負担です。一方腹膜透析は、透析液を一日4回ぐらい患者さんが自分で交換する。点滴と同じで、覚えてしまえば誰にでもできます。病院みたいに透析の設備もいりません。通院は月1回で大丈夫ですし、生存率はむしろ高いとの報告もある。社会復帰という点でも、比較的普通に仕事ができますし、海外旅行も可能です」(小松医師)
腹膜透析には長くても5年ぐらいしか続けられないという制限はあるものの、治療と通院にかける時間を考えれば、最初の5年間だけでも腹膜透析を行い、その後は血液透析に移行するというのがあるべき姿のような気がするのだが、そうはなっていない。
「現状では、腹膜透析療法を提供できる病院やスタッフが少なく患者さんが腹膜透析を選択したくてもできない現状があります。患者さんのQOL向上ためにも変えなくてはいけません」力を込めて語る小松医師の指導の下、聖路加国際病院では、腹膜透析にも積極的に取り組んでいる。2013年からは2名の患者さんが家庭血液透析を開始している。
さらに「チーム医療」への熱心さも、小松医師の特徴の1つだ。
「たとえば食事療法を患者さんに実行してもらうのは、ものすごくむずかしい。人によっては、どうして自分の生活を変えなくちゃいけないんだと思ってしまいますからね。食事療法の必要性を理解してもらわなくてはいけません。そのつぎには、制限食を自分で選び、作れるようになること。自分で作ったものを食べられなくてはいけないという最終難関もあります。身体によくても、好みに合わなくて食べられない人もいますからね。それには医師が口頭で説明するだけではだめで、やはり看護師や栄養士など専門スタッフがチームを組んで、相談にのったり励ましたりしながらでなければできません」
食事は毎日のこと。一週間ぐらいなら楽勝でも、生涯続けるのは患者個人の努力だけで厳しい。専門スタッフによるチーム医療が不可欠であり、小松医師は、そうした院内の体制づくりと運営にも力を入れている。
また2011年から同科では、腎臓移植を開始したが、米国移植専門医を取得している長浜正彦医師を中心に、泌尿器科など他科との連携を取りながら、保存期腎不全から移植、移植後の感染症、血圧・血糖コントロール、循環器疾患などの合併症に対しても万全の医療を提供している。これもまたチーム医療の一環だ。
現在、日本には約1,300万人の慢性腎臓病患者がいると推定されている。これは、成人の約8人に1人にあたる数であり、今後も増加が予測される。患者に負担が少なく、無理なく長く続けられる医療を、集学的診療体制(看護師・栄養士・外部クリニックとの病診連係等々)で担う小松医師のやり方は、これからの主流になっていくだろう。

医師プロフィール

1984年 千葉大学医学部卒業
1984年4月~1987年3月 聖路加国際病院 小児科 レジデント
1987年4月~1997年1月 東京女子医大腎センター 小児科 助手
1990年1月~1991年3月 フロリダ大学医学部薬理学教室留学
1995年1月~1997年1月 千葉県こども病院 腎臓科医長
1997年2月~ 聖路加国際病院 腎センター拡大のため、招聘を受け内科に赴任
1997年2月~3月 UCLA腎臓内科・腎臓小児科 客員医師
1998年8月 聖路加国際病院 内科医長、腎センター管理責任者(センター長)
2006年7月 千葉大学医学部臨床助教授
2007年11月 聖路加国際病院 腎臓内科部長
2010年8月 ノースカロライナ大学チャペルヒル校公衆衛生大学院卒業(MPH取得)
2011年1月 聖路加国際病院 副院長
2011年4月 千葉大学医学部臨床教授